リアンノン【1】
「なんて気持ちいいのかしら。今日も、いい風が吹いてるわね」 リアンノンは、幼きころから一緒に育った愛馬に乗って天界を巡る。そこに吹く美しき風に髪をなびかせながら。 |
リアンノン【2】
「あら、なんだか騒がしいわね……。地上でなにかあったのかしら?」 リアンノンはまだ、地上で天地を揺るがすほどの激しい戦いが繰り広げられていることを知らなかった。 |
リアンノン【3】
「……ねぇ、どうして争いが起こる? あたしにはわからないわ」 戦乱で消えゆく命があまりにも多いことを察知し、リアンノンは哀しくも不思議な気持ちになっていた。 |
リアンノン【4】
「あれを見て、星がすごくきれいよ。早く迎えに行ってあげないと……」 天界に輝く星は、迷える死者の魂を導く灯り。今宵もその魂をリアンノンが死後の世界へと送り届ける。 |