【月光】ツクヨミ【1】
「今宵は満月。満月の夜は、私の時間」 空に満月が昇るとき、その女神は現れる。一説によるとツクヨミは空の彼方、あの輝く月からやって来たらしい。と……そんな噂が流れているが、その真実を知る者はどこにもいない。ツクヨミに問いかけても、彼女はただ微笑むのみ。 |
【月光】ツクヨミ【2】
「月が綺麗ですね。……あっと、これは告白ではないのですよ?」 月に照らされた女神は神々しくも、どこか妖艶な美しさを持っていた。そんなミステリアスさを持つからこそ、彼女は様々な者から狙われる。しかし彼女に無礼を働いたものは、その三日月の如く美しい刀でことごとく切り伏せられる運命だ。 |
【月光】ツクヨミ【3】
「私ですか? ええ、月から来たのですよ。……なんて。あなたは信じますか?」 ツクヨミはただ、そう言って笑うばかり。まるで月の裏側がここからでは決して見えないように、ツクヨミの真実を垣間見ることはできない。そして彼女自身、ミステリアスでいることを楽しんでいるようでもあった。 |
【月光】ツクヨミ【4】
「また会いましょう。また次の、満月の夜に」 地平に満月が沈む頃、その女神は去って行く。けれど、また空に満月が昇るとき、その女神は現れるのだろう。緩やかに歩き始めたツクヨミの姿を月が照らす。煌煌とした満月に一瞬だけ目が眩んでーー気付いたら、もうツクヨミはそこにはいなかった。 |