【神化】織姫と彦星【1】
王家に連なる血筋を持つ娘と貧しい牛飼いの青年。身分違いの恋に溺れた彼らは神殿へと逃げ込んだ。追っ手はそこまで迫っている。二人が死して共になることを決意したその時、眼前に神々しい光が現れた。 |
【神化】織姫と彦星【2】
甘く温かい神の声。その囁きは彼らの愛を成就させると約束した。その条件として神が求めたのは、神秘の業で織る霊布だった。与えられた微かな希望にすがるように、二人の機織りが始まった。 |
【神化】織姫と彦星【3】
神秘の業には相応の代償が必要となる。霊布は織り手の命をゆっくりと蝕むものだった。それでも二人は手を止めない。もう少しで一緒になれるから。もう少しで愛を実らせることができるから。 |
【神化】織姫と彦星【4】
ついに霊布は完成しなかった。霊布が織りあがる前に、二人の命は蝕まれつくしたのだ。神はその結末を憐み、彼らを自らの同胞とした。二人は天に昇り、一日だけその愛が認められた。たった一日。それでも二人は構わなかった。それは彼らが生涯をかけて求めた一日だったから。 |