アニエル【1】
「悲しい歌を奏でましょう。忘れられえぬ戦火の歌を」 かつて地上を焼いた戦の炎。人間と人間が屠りあう無益な争い。一人の天使が口ずさむのは、骸の山から見た地獄絵図。弦を震わせるのは天使の指先か、戦場の恐怖か。 |
アニエル【2】
「甘く儚い愛と美の歌よりも、正しく世界を歌う。それが私の使命です」 なぜその戦争が起こったのか。今となっては誰も答えられない。争いの理由を知る者は絶え、理由の記された書物は燃え尽きた。人々が知るのは陰惨な天使の歌のみ。 |
アニエル【3】
「私が歌い始めてから、どれほどの時間が経ったでしょうか。もうこの古戦場に残るのは亡者の列だけ……」 痛ましい戦地に花が咲く。悲惨な歴史の上に咲いた愛と美の象徴は、次の世代を紡ぐ始まりとなるのか。 |
アニエル【4】
「これは悠久の歴史に漂う歌。終わらざる悲しみの歌。だけど、決して諦めない決意の歌」 数多の歌を歌い、悲しみを奏でてきた天使アニエル。彼女が願う愛と美の世界は、未だに現れない。それでも彼女は歌い続ける。その歌声の意味に人々が気付くまで。 |