シャヘル【1】
「すべての星が狂いなく運行し続ける。それを守るのが私の仕事です」 遥か昔から、人々は星と共に生きてきた。方角、暦、神話、あらゆるものが美しい星空の中に刻まれているのだ。そんな星々の運行を守るのが、明けの明星を司る神シャヘルなのだ。 |
シャヘル【2】
「おかしいわ。星の動きに狂いが生じている。ほんの少しずつだけど、確実にずれ始めてる」 星々のルールは絶対であり、破られることはない。そのことを誰よりも知るシャヘルは、明確な脅威を近くに感じとっていた。 |
シャヘル【3】
「誰かが時空を捻じ曲げている。だから、星たちが混乱しているんだわ」 絶望は確かに接近していた。時空をも捻じ曲げる強大な魔力の蠢きに、シャヘルは確かに気付いた。それは彼女がこれまでであったことのない、禍々しい気配だった。 |
シャヘル【4】
「まさかあの力の正体が『闇』だったとわね」 黒く蠢き、すべてを飲み込む。そのおぞましき力の正体は、いかんともしがたい巨大な闇の塊だった。だが、彼女は明けの明星を司る星の神。闇を終わらせ、新たな光を差し込ませるのは最も得意とすることだ。 「星の運行は狂わせないわ。さぁ、夜明けの時間よ」 |