役小角【1】
「ひょひょひょ。ワシの仙術を見てみたいかえ?」 奇跡の術を扱う仙人が住まうという山がある。その山には不用意に近づかない方がいいだろう。いたずら好きの仙人は、いつでもからかう相手を探しているのだから。 |
役小角【2】
「山の様子がおかしい……妖魔どもが現れる前兆かのぅ」 役小角は天才と呼ばれた仙人だった。彼女が優れていたのは仙術だけではない。誰にも思いつかないような奇抜な発想こそが、彼女の最大の武器なのだ。 |
役小角【3】
「妖魔どもが山を囲んだか。ひょひょひょ、少し遊んでやるかえ」 仙人を狙う妖魔は多い。役小角とてその例外ではない。彼女の肉を喰らい、その仙力を自らのものにしようと考える妖魔たちに、仙人の山は囲まれていた。しかし、役小角は少しも慌てる素振りを見せていない。 |
役小角【4】
「この山がそんなに好きかえ?それならば、この山で永遠に暮らすといいわい」 轟音と共に、仙人の山が地中へと沈む。山に入り込んだ妖魔たちも山とともに地下へと消えて行った。残ったのは楽しそうな笑みを浮かべる天才仙人のみ。奇策迷策を好む役小角に、また奇妙な戦績がついたのだった。 |