歳神【1】
「新たな年が訪れました。さぁ、皆で輝かしい一年を始めましょう」 一年という時間の中で、人は多くの喜びと悲しみに出会う。そして、その一年がどれだけ素晴らしくとも、どれだけ辛くとも、新たな一年は誰にでも平等にやってくる。美しき歳神とともに。 |
歳神【2】
「私の力でも、過ぎ去った一年を変えることができません。ですが、新たな一年を与えることならできます」 悲しみの一年を過ごした者の中には、次の一年を恐れ、拒む者もいる。しかし、歳神はそれを許さない。何人にも平等に時間を与え、その使い方を静かに見守るのだ。 |
歳神【3】
「私にできることは、新たな一年を与えることだけ。その一年をどのように彩るかは、受け取った人たちの自由です」 かつて神々の間で歳神の行動が大いに議論されたことがある。与えられた時間を無為に過ごすばかりの人間に、一年を与える必要はない、とある神は言った。しかし、歳神はその意見に決して賛同しなかった。 |
歳神【4】
「人は愚かで軽薄で弱い。それでも私は信じています。彼らが次の一年で、少しでも強くなることを」 歳神が人を助けることはない。一年の時間を与え、見守るだけだ。 それは彼女の信頼の表れである。人を信じているからこそ、彼女は毎年やってくるのだ。誰よりも人間を愛する歳神は、人の緩やかな歩みを今年も見守っている。 |