【十刃】アンドロメダ【1】
「いい? あたしが師匠に勝ったら、次の武闘会に出場させてもらうんだから!」 アンドロメダはおてんばな姫君だ。詩やダンスよりも剣術を好み、もうじき国で開かれる武闘会にも出たがっている。しかし両親である王や王妃が猛反対したため、アンドロメダは剣の師匠に頼み込み、出場の権利を賭けた勝負を挑んだ。 |
【十刃】アンドロメダ【2】
「くっ……悔しいけど、やっぱり師匠にはかなわない、か。でも……」 王も王妃も、娘がいかにおてんばか理解しており、万一の保険として、剣の師匠には国一番の達人を雇っていた。あっさりと賭けに負けてしまったアンドロメダだが、城の窓から稽古中の兵士たちを眺める限り、やはり自分の方が強いように思える。 |
【十刃】アンドロメダ【3】
「お父様、お母様。わたくし、本日はゆるりと観戦させていただきますわ」 そして迎えた武闘会当日。アンドロメダは、王と王妃とともに貴賓席で試合を観戦していた。しかし、どうにも様子がおかしい。普段のアンドロメダからは考えられないほどおとなしく、おしとやかなのだ。 |
【十刃】アンドロメダ【4】
「ふふっ。悪いけど飛び入りさせてもらうわよ!」 試合場に突然飛び込んできた謎の美剣士に、会場は騒然となった。仮面はしているものの、その声は明らかにアンドロメダのものだ。王ははっとする。貴賓席に座っているのは彼女の影武者だったのだ。慌てる周囲に構うことなく、アンドロメダは勢いよく剣を抜いた。 |