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魔属性/LLR/【吸血姫】モルモー

Last-modified: 2018-03-25 (日) 14:54:19

【吸血姫】モルモー【１】

「ｵﾏｴ、このへんじゃ見ない顔だな」
迷い込んだ見知らぬ地で、男は突然、女に話しかけられた。赤い尾を生やした魔族の女だ。最初は言い寄られているのかとも思ったが、女のまとう雰囲気はやけにものものしい。

「ここは冥府だ。ここで、ﾜﾀｼにあいさつをしないとはどういうことだ」
その言葉でようやく、どうやら自分は死んだのだと男は悟った。失敗した。面倒な場所に足を踏み入れてしまったらしい。

「これがｵﾏｴのあいさつか? ……おもしろいﾔﾂだ」
考え方を変えれば、この冥府で暮らしてゆくためにはこの魔族の女に従えばいいのだ。郷に入っては郷に従えである。

「わかればいいのだ、これからよろしくな」
結果から言えば、男は卑屈なほどにへりくだった態度をとった。だが、この魔族の女の機嫌を損ねてはこの地で暮らし続けることはできなかっただろう。彼女に認められることを考えれば、選択は難しくないのだった。