【地獄の門番】ケルベロス【1】
「ずいぶんと多いな。だが、ここは通さん!」 現れた敵の大軍に向け、ケルベロスはほえたてた。地獄の番犬の異名通り、彼女の役目は門の守護。敵をここで食い止めねばならない。 |
【地獄の門番】ケルベロス【2】
「この牙一本、今日は何人を食えるかな?」 ケルベロスはひとり。武器も愛剣のみだ。多勢に無勢にも見えるが、臆しているのは大軍である敵の方だった。地獄の番犬・ケルベロスの二つ名と実力は、皆に知れ渡っているのだ。 |
【地獄の門番】ケルベロス【3】
「立ちすくめ! そして私の前にさらすのだ! そなたの弱きところを!」 ケルベロスが声をあげると、敵の体には炎のようなアザは浮かびあがる。てのひらで隠そうとしているものもいるが、もう遅い。アザは彼らの『弱点』だった。 |
【地獄の門番】ケルベロス【4】
「無駄だ、もう覚えたぞ!」 ケルベロスの目は浮かび上がったアザの位置を一瞬で記憶していた。突き出した愛剣がアザを一瞬で貫き、容赦なく絶命させていく。生者がケルベロスの目を盗むことはできない。地獄の門をくぐれるのは、死者だけなのだ。 |