【夢幻】ホド【1】
「あなたのゆめは、なんですか?」 眠ったまま二度と目覚めぬ人間がいるのなら、それはホドの声を聞いてしまった者だ。かの悪魔は人間に、本人が望む最も理想的な未来の幻覚を見せる。見てしまったら最後、その楽園から抜け出せる人間はいないだろう。幸福な夢に包まれたまま、二度と目覚めることはない。 |
【夢喰】ホド【2】
「しあわせなゆめ。しあわせだね。きみもしあわせになりたいですか?」 ホドは無邪気に笑う。ホドは自分が良いことをしていると思っている。そして今日もまた一人、永久に幸福な夢の中へ。二度と目覚めぬ幸せな笑顔を見るのが、ホドにとっては何よりの幸せだった。 |
【夢喰】ホド【3】
「きみはしあわせがきらいですか? では、しあわせのよさをおしえてあげますね」 とある退魔師がホドを討ち取らんと現れた。穏やかに微笑むホドへ退魔師が襲いかかる。見事に悪魔を撃破する。やった。その功績を称えられて彼はーー…… それが幸福な幻とは知らず眠りに落ちた退魔師に、ホドはニコリと笑った。 |
【夢喰】ホド【4】
「ねたひとをおこしてほしい? どうして? きみもねむればいいじゃないですか」 ホドがその力を使えば、人々は次々と幸せな夢に落ちていった。きっと彼等は夢の中で楽しく暮らしていることだろう。いつまでも愉快に過ごす事だろう。ほら、だって、あんなに幸せそうに、笑っているーー。 |