【天狼】シリウス【1】
「みんな、今日も狩りにいくよ!」 ここは獣人たちの住む里。さまざまな姿をした獣人が、それぞれの特技を活かして生活をしている。シリウスもまた、その姿にふさわしいオオカミの特技を持っている。すなわち、彼女は狩りの名手であった。 |
【天狼】シリウス【2】
「まったく、みんな足が速すぎるよなぁ」 大抵の動物は、シリウスの姿を見ると一目散に逃げはじめる。シリウスは、皆が思うほど足が速くない。ゆえに引き離される。悔しい。もっと足が長ければ、と考えても意味のないことで悩むこともある。 |
【天狼】シリウス【3】
「キミはあっち、あなたはこっち。あたしはここで待ち伏せてるね」 それでもシリウスが狩りの名手と呼ばれるのは、同じ里の仲間たちとうまく役割分担をするからだ。相手を計画的にワナへと誘い込んでいく。 |
【天狼】シリウス【4】
「それでもダメなら、根性だっ!」 ワナは結局はワナだ。失敗することもある。失敗してしまったら、ひたすらに追いかける。相手が疲れ果てるまで追いつづける。強くて頭がいいと思われているオオカミだが、本当に価値があるのはその執念だ。どこの世界でも、最後にものをいうのは粘りとやる気なのだ。 |