【竜姫】ファフニール【1】
「もー! またきた!」 ファフニールはウンザリした様子で、ほほを膨らませた。自分の根城にトレジャーハンターたちが潜入しようとしているのだ。ファフニールの根城には、長きに渡って抱え込んだ大量の黄金が眠っている。それを目当てに侵入を試みる者が、後を絶たないのだ。 |
【竜姫】ファフニール【2】
「ワタシのキラキラに触るなぁ!」 ファフニールは根城に入ろうとするトレジャーハンターたちの前に飛び出した。キラキラとは黄金のことである。ファフニールは、ただキレイだから集めているにすぎない。人間たちにとって、それらがどれほど価値のあるものかを知らないのだ。 |
【竜姫】ファフニール【3】
「ワタシはドラゴンなんだぞ! 言う事をきかないとひどいぞ!」 トレジャーハンターたちは、ファフニールが偉大なる竜の一族だとは信じずに笑い飛ばした。目の前に、一生遊んで暮らせるだけのお宝があるのだ。女の子の戯れ言になど付き合ってはいられない、といわんばかりだ。 |
【竜姫】ファフニール【4】
「ほぉら、だから言ったのに」 怒れる竜の力を開放したファフニールにとって、トレジャーハンターなど敵ではなかった。全身に大やけどを負った彼らは、息も絶え絶えに逃げ出していく。こうして今日も守り通した黄金を、ファフニールは無邪気な笑顔で見つめるのだった。 |