【黒妖】ヘルハウンド【1】
「また亡者がさまよっているようだな……」 黒いドレスをまとった美貌の剣士。深夜、墓場に現れる女剣士の噂は、いよいよ人々の口の端に上りつつあった。人は誰ともなく、剣士を地獄の番人、ヘルハウンドと呼んだ。 |
【黒妖】ヘルハウンド【2】
「ここはもう貴様の居場所ではないのだ」 悪霊化し甦った死者たちを、ヘルハウンドの剣が両断する。肉体が使いものにならなくなれば、魂は再び黄泉へと戻る。リビングデッドとはいえ、かつて人間だったものを容赦なく斬る黒いドレスの剣士の姿に人々は恐れおののいた。 |
【黒妖】ヘルハウンド【3】
「さっさと帰れ、貴様が無事にくたばったら、その時は相手をしてやる」 亡者を黄泉へ送ることだけがヘルハウンドの任務ではない。生者と死者を正しく仕分けすること。死者は死者の、生者は生者の住み家へ。墓場に迷い込んでしまった人間がいれば、強力な悪霊との大立ち回りの最中でも身をていして逃がしてやる。 |
【黒妖】ヘルハウンド【4】
「貴様らのような者は、こちら側に帰るべき場所はないな」 ヘルハウンドが人間に手を出さないと解釈したのなら、それは大間違いだ。盗掘・墓荒らし、死者の安らぎを妨げるものは、生者として失格だ。全ての者に正しい居場所を。ヘルハウンドは正確に見定め、容赦なく黄泉へ送る。 |