インフェルノ【1】
「今日もずいぶんと、悪い子が増えたわねえ~。」 ここは罪人たちが集められる谷。この谷を、丘のいただきから見下ろす一人の女がいた。地獄の門の守護者、その名をインフェルノという。 |
インフェルノ【2】
「あなたは門を出たら左に行ってちょうだい。あの火に焼かれるの。熱いのが好きなんでしょ?」 インフェルノは真面目な働き者だ。罪人たちがこれから受ける罰が執行される場所を案内する。どんなに罪人が多くとも、ひとりひとりに丁寧に説明してから行うのが彼女の流儀だ。 |
インフェルノ【3】
「いつまで……って? 永遠によ。終わりなんかないの~。ずう~っと続くのよ。」 インフェルノは罪人の疑問に丁寧に答える。永遠という言葉に大抵の罪人はぽかんとする。つい先ほどまで人間だった者たちにとって、その宣告の重みは、すぐには理解できないものなのだろう。 |
インフェルノ【4】
「あなたの罰は決まっているのよ。逃げちゃだめよ……仕方ないわね~。」 地獄の門が近くなるにつれ、これから自身に執行される刑から逃げ出すものもいる。インフェルノは逃げ出した罪人に容赦なく、その槍で突く。あまりの苦痛に死者でありながら、もう一度死を懇願する。その光景にほかの罪人は大人しく地獄の門の中へと進むのだという。 |