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魔属性/LLR/ダンピール

Last-modified: 2018-03-25 (日) 13:13:32

ダンピール【１】

「この地下に獲物がいる、か」
女はのどかな街道の途中で立ち止まると、冷笑を浮かべた。街道の下には、実は古城の跡があり、そこに恐るべき吸血鬼が潜んでいるという。街道を行き交う旅人はおろか、近隣の住人さえ知らなかったその事実を、女は知っていた。

「そろそろ当たりを引きたいところだ」
吸血鬼の居所がわかるのは、女も吸血鬼を父に持つﾀﾞﾝﾋﾟｰﾙだからだ。だが吸血鬼の気配を感じることはできても、それが女の探し続けている吸血鬼本人なのかはわからない。実際にその姿、その命をとらえるまでは。

「いいかげん、生きることに飽きはしないのか?」
地下の城塞には吸血鬼の部下である魔物や、吸血鬼を守るための仕掛けが厳重に配置されていた。百年も千年も生きただろうに、こんなものまで作って自分を守ろうとするとは……。往生際の悪さに、女はあきれ果てる。

「ﾊｽﾞﾚ、か……まあ当たったところで、虚しいことに変わりはないがな」
今回仕留めたのは探し求める吸血鬼……、女の父親ではなかった。父親を殺したところで、普通の人間になれるわけではない。それでも忌まわしき自らの血の源を断つために、女は狩りの旅を続ける。