マトリカス【1】
「すべてはご命令のままに」 はるか昔、マトリカスは高名な魔術師により、大気中のマナを魔法で固定化するという方法で作り出された人工生命体だ。マトリカスは生みの親である魔術師によく従ったが、やがてその魔術師は寿命で倒れた。 |
マトリカス【2】
「ご命令をどうぞ」 主人を失ったマトリカスは自らの生きる意味を失った。彼女は魔術師の亡骸の傍らに数百年にわたって立ち続け、命令を待った。しかし、最後の骨のひとかけらが風化したところで、彼女は自分の置かれた状況を理解した。 |
マトリカス【3】
「私には新たなマスターが必要です」 マトリカスは自分の新しい主人を探す旅に出た。そこで出会ったのは、奴隷商人から逃げ出してきた一人の少女だった。マトリカスは少女を主人と決め、その願いをかなえることにした。 |
マトリカス【4】
「いかなる復讐も、私が見事に果たしてみせましょう」 マトリカスは少女に奴隷商人への復讐を提案した。しかし、少女はそれを拒んだ。そして、少女はマトリカスに最初で最後の命令を出す。 「自由におなりなさい」 それはマトリカスにとって何とも難しい命令だった。 |