レブナント【1】
「ねえ……? どうしてあなたは平気で生きていられるの」 夜中、少年が目を覚ますと寮室に存在するはずのない少女が立っていた。うつむいていた顔がゆっくりとあがる。怒りを帯びたその顔は、間違いなく彼女ーー数カ月前にこの寮で自ら命を絶ったはずの同級生だった。 |
レブナント【2】
「あなた、私が苦しんでいるのを黙って見ていたわよね?」 少女は震える声で、少年に問いかけた。自殺の原因は、学級委員長一派によるいじめであることは誰もが知っていた。だが、もし声をあげていたら、いじめの対象に自分が加わってしまっていただろう。だから何も言えなかった、少年はそう弁解しようとした。 |
レブナント【3】
「でも、あなたのことは許してあげるわ。トモダチになってくれたらね」 恐怖に凍える顔でうなずいた少年の胸を、激痛が貫いた。心臓からおびただしい血があふれ出す。トモダチになってくれたらという言葉の意味を少年は理解する。つまりは、彼女と同じ死者になることが許しの条件なのだ。 |
レブナント【4】
「いいこと教えてあげる。私ね自殺なんてしてないの♪あなたや他のトモダチの命は私の研究に役立ててあげるわ~」 彼女はうれしそうにつぶやいた。彼女の研究は生と死を対象としていたことを少年は思い出し驚愕する。これがギムナジウム学園の寮で毎夜起きる不可解な殺人の真相だったのだ。 |