ヴァルプルギス【1】
「雪山の魔女たちが間に合いそうにないだと?」 深々と雪の振る夜。白く化粧をした遠山を見つめながら、ヴァルプルギスは部下の報告に眉をひそめた。今宵は魔女にとって最も重要な夜、国中の魔女がここに集うべきときなのだ。 |
ヴァルプルギス【2】
「あちらは猛吹雪とな? では仕方あるまい、彼女らの分の魔力は私が補おう」 ヴァルプルギスは部下の魔女たちに、儀式の準備を急ぐように通達した。もう日が沈み始めている。夜が訪れるまでにすべてを整えねばならない。 |
ヴァルプルギス【3】
「皆の者、復活のかがり火をともせ! 祭りの始まりだ!」 丘の上からヴァルプルギスがかけた号令とともに、儀式が始まった。闇の中に浮かび上がる炎が形を変え、巨大な魔法陣をなしてゆく。 |
ヴァルプルギス【4】
「少し眠ってしまったか、心配をかけたな。……さて、儀式はうまくいったか?」 欠席した魔女たちの魔力を埋め合わせるのは、ヴァルプルギスの力をもってしても負担の大きいものだった。だが、この呪術を成功させることが、魔女の支配者としての役目。高貴なる魔女の血族に課せられる使命なのだ。 |