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魔属性/LR/【秋節】酒呑童子

Last-modified: 2018-03-21 (水) 12:57:43

【秋節】酒呑童子【１】

「紅葉を肴に美味い酒! これほどの贅沢はねぇなｧ?」
辺り一面が風光明媚な唐紅。はらはらと散る紅葉を眺め、鬼の女頭領、酒呑童子は豪快な笑い声を満足気に放った。その手には大きな杯と、杯の大きさにそぐわぬ量の酒。彼女の周囲には同じ様に杯を持った鬼達が数多集い、ともに楽しげに騒いでいた。

「ｶﾞﾊﾊﾊ!あの商隊を襲ったのは間違ってなかったろ? 野郎ども、ｵﾚ様に感謝しな!」
酒盛りと共に、鬼達の会話に花が咲く。盛り上がるのは、とある国の王へと謙譲される酒を運ぶ商隊を襲った時の話だ。酒呑童子の豪快な一撃で蹴散らされる商隊と、手に入った極上の酒と。あれは凄かったなぁ、と鬼は笑う。

「酒がもう無ぇだｧ……? ったく、呑みすぎなんだよｵﾏｴら。……あ? 一番呑んでたのはｵﾚ様? んなこたぁ当たり前だろ!」
鬼は誰も彼も酒好きの大酒呑み。とりわけ酒呑童子は頭領らしく群を抜いている。逆さにしようが一滴も出ない大瓶を手に、やれやれ。ほろ酔い顔の酒呑童子はすっくと立ち上がった。

「しゃｰねｰなぁ。この近くに町があったな。ちょっくら『お邪魔』しに行くかｧ野郎ども!!」
得物を担いで豪快な一言。丁度、酒で体が火照っていい具合だ。鬼達はｵｵｯと声を上げる。次々と立ち上がる。紅葉が赤く散る最中、鬼達は進軍する。その先頭に立つのは、ﾆﾔﾘと笑う鬼の頭領であった。