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魔属性/LR/アンゴルモア

Last-modified: 2018-03-24 (土) 11:31:12

アンゴルモア【１】

「わらわを呼ぶ声がする」
ｱﾝｺﾞﾙﾓｱには未だ、熱狂的な信者がいた。世界の滅亡を願う危険思想の集団だ。事実、ｱﾝｺﾞﾙﾓｱには世界のひとつくらいなら滅ぼしうる強大な魔力と、破壊の力を放てる杖があった。

「うるさい、わらわに何も期待するな」
かつて、有名な預言者が告げたのだ。ｱﾝｺﾞﾙﾓｱが世界に終末をもたらすであろうと。預言などとたいそうなことを言っても、しょせんは占いだ。ｱﾝｺﾞﾙﾓｱにそんな気はない。

「そんな事をしたら、疲れるではないか」
世界を滅ぼす気がないどころか。ｱﾝｺﾞﾙﾓｱは自分の殻から一切出たくなかった。外の世界などﾛｸなものではないに違いない。詳しくは知らないが、自分の信者たちが滅びを願うほどなのだから、よほどひどい場所なのだろう。

「そんなに滅びを願うなら、お主らも外の世界に出なければいいのじゃ」
ｱﾝｺﾞﾙﾓｱは自分の信者たちにそう言いたい。だが、長く沈黙しすぎたゆえ、人前に出て話す事さえ怖かった。ｱﾝｺﾞﾙﾓｱがそんな状態だとは知らず、信者たちは今日も、滅びの主の沈黙が解ける時を待っている。