ウァサゴ【1】
「皆の者! 新しい予言が降りたぞ!」 ウァサゴは地獄の預言者である。容姿こそ幼く見えるが、彼女の「不幸の予言」は必ず当たる。悪魔たちは彼女の次の予言はいつなのかと、毎日待っているのだという。悪魔にとって不幸こそがなによりのご褒美なのだ。 |
ウァサゴ【2】
「この中にひとり……大災難を受ける者がいる!」 「不幸の予言」を聞きに広場に集まってきた悪魔たちは顔を見合わせる。ロクでもない予言が始まると分かっているのに、彼らの顔に不安は見えない。それどころか、期待に満ち溢れているようにも見えた。 |
ウァサゴ【3】
「そこの巻き角!貴様は今日、サイクロプスに踏まれて命を落とす!」 二本の大きな巻き角を生やした悪魔を指さして宣言した。予言を聞きに集まっていた悪魔たちは歓声を上げる。さらには盛大なパーティの準備さえ始まる。巻き角の悪魔も照れくさそうにはにかんだ。 |
ウァサゴ【4】
「これは酷いのう……はて? 他の奴らも巻き込まれると言っておかなかったか?」 盛大なパーティーが開かれている広場に、突如サイクロプスが落下してきた。地獄の上層で足を踏み外し転げ落ちたのだそうだ。巻き角の悪魔は圧死。他に多数の怪我人が出た。しかし、「予言は成就した!」と悪魔たちの宴はいよいよ盛り上がるのであった。 |