オセロット【1】
「何ゆえ叫ぶ?」 死に瀕してあげる人間たちの悲鳴が、オセロットには煩わしかった。だから、叫ぶ事の出来ない存在に変えるために、爪を振り下ろす。殺す事に意味はない。人が何の意識もせずに呼吸をするのと同じく、それはオセロットの必然だった。 |
オセロット【2】
「何ゆえ逃げる?」 人々は、オセロットの姿を見ると逃げ惑った。意味のない行為だ。いかな駿馬に乗ろうとも、オセロットはさらなる俊足でそれに追いつき、牙を突きたてる。オセロットから逃れる術などありはしない。 |
オセロット【3】
「何ゆえ抗う?」 時に剣をとり、オセロットに抗おうという人間もいた。小賢しい。いかに渾身の力を込めて斬撃を放とうと、オセロットの俊敏さの前に空を斬るだけだ。そして、牙を喉に突き立てられる。結末は何も変わりはしない。 |
オセロット【4】
「何ゆえ生きる?」 オセロットには人が生きている意味がわからなかった。生きている以上、オセロットは殺さねばならぬ。最初から生きていなければ、殺す必要もないというのに……。今日も人とオセロットがいる場所に、血の吹雪が吹き荒れる。 |