ケテル【1】
「我が名は王冠<ケテル>。王様なんだから、贅沢するのは必然だわ」 金銀財宝でこれでもかと飾り立てられた王城、それが魔界の女王ケテルの城。ケテルはありったけの贅を凝らした玉座に座り、ありったけの贅を凝らしたドレスとアクセサリーを身に纏い、思いつく限り贅を尽くして暮らしている。 |
ケテル【2】
「まだまだ足りないの。もっともっと贅沢がしたいわ」 贅沢とはすなわち魔界の女王を指す言葉なりーー魔界においてそう噂されるほど、ケテルの贅沢さは有名だ。恐ろしいのが、彼女は決して満足しないこと。どんな財宝を手に入れようと、次の日には、もっと贅沢なのが欲しい、と無邪気に笑うのだ。 |
ケテル【3】
「私は贅沢できないと死んじゃうのよ。ねぇ私を殺す気なの? 困ったわ、叛逆罪ね」 ケテルは全ての臣下に『もっと贅を』と命じている。そして彼女の欲を満たせられなかった者は『叛逆者』として処刑される。贅沢な、ダイヤモンドのギロチンで。 |
ケテル【4】
「今日は領土に金と銀とダイヤの雨を降らせるの。ね、贅沢でしょ?」 ケテルに逆らおうとする者はいない。一つ目は、誰も彼女に勝てないから。二つ目は、彼女の贅のおこぼれにあずかれば、下手な富豪よりも良い暮らしができるから。そしてケテルという薔薇は周囲から養分を啜り、贅沢という大輪を咲かせるのだ。 |