バブド【1】
「絵はいいものね。見ているだけで心が穏やかになるわ」 バブドは絵画を愛している。美しい絵は悪魔の心すらも感動させるという。ただし、彼女の好むのは絵には決まった特徴がある。血を絵具がわりに使っているのだ。 |
バブド【2】
「勘違いをされては困るわ。私は何も猟奇的な意味で血の絵を好んでいるわけではないのよ」 バブドは常々同じことを話している。血とは魂と肉体を繋ぐ鎖であり、親から子へと引き継がれる生命の糸だと。彼女は血を神聖視しているが故、血を好むのだ。 |
バブド【3】
「私には血が流れていない。もしかしたら、血に対して憧れがあるのかもしれないわね」 バブドは自分で絵を描くことはない。それは、自分にその才能がないことを自覚しているからだ。しかし、いつの日か描きたいという気持ちはあった。その日に備え、彼女は絵具の準備を怠っていない。 |
バブド【4】
「鮮やかな赤に、陰鬱な赤……同じ血でもこんなに違うなんて、本当に面白いわね」 バブドが集める絵具は多種多様だ。人間も天使も同族の悪魔ですらも、血のある者ならばすべてが彼女の獲物となる。いつか描かれる作品のために、彼女の狩りは終わらない。 |