バルティカ【1】
「深い深い海の底。そこは私の城よ」 大陸南部の海を渡ろうと思ったら、満月の夜は避けなければならない。海底の主は、水面にうつる月を見るのが好きだからだ。 |
バルティカ【2】
「海で死んだ者は多い。彼等の多くは、私の配下となるの」 バルティカは海で死んだ者たちを総べる。海底にある彼女の王宮には、溺死の苦しみを味わい続ける、哀れな死者の奴隷たちが数多くいる。 |
バルティカ【3】
「海は私の故郷であり、家であり、体の一部なの」 バルティカを討つべく、大陸から大艦隊が遣わされた。乗船している戦士たちは、自分たちの愚かさをまだ知らない。 |
バルティカ【4】
「海で私に挑むなんて、愚かというよりも憐れね」 荒れ狂う波は船を傾け、吹き荒ぶ風は帆を折る。そして、水中から現れたバルティカを見て、海の戦士たちは恐怖した。彼女の一振りは巨大艦船を真っ二つにし、放たれる呪文は人間の魂を瞬く間に奪っていったのだ。 |