バンパイア【1】
「美しい……私の狩りにふさわしい、素晴らしい夜だ」 闇の君主は寝静まった年に降り立った。甘く香しい血を求めて、今宵も華麗にも残虐な狩りが始まる。絶望と恐怖の入り混じった、美女の悲鳴が夜の街にこだまする。 |
バンパイア【2】
「月明かりはいい。静かで優しく穏やかだ。そして、何よりも血の色がより映える」 数えきれないほどの夜を渡り歩いてきたバンパイア。そんな彼の背中を見つめる影があった。月明かりすらも届かない濃い闇の中に、剣を握りしめる戦士の一団がいた。 |
バンパイア【3】
「そうだ、ゲームをしよう。私は今から君たちに一切手出しをしない。ただし、一時間以内に私を殺せなければ、私は剣を抜く。……面白そうだろ?」 バンパイアを討つために送り込まれた聖なる戦士団。彼らは剣を抜くと、次々にバンパイアに襲い掛かった。 |
バンパイア【4】
「私は争いは嫌いだ。下品を好まず、普段から優雅にふるまっている。だが、それは剣を抜く前の話。もうゲームは終わりだ」 紫煙とともに鞘から抜かれたバンパイアの剣は戦士たちを戦慄させた。血の流れない夜は終わり、血なまぐさい宴がこれから始まる。 |