フィーンド【1】
「人々が最も恐れるもの。それは凶器を持った戦士でも、牙をむいたドラゴンでもない。姿の見えない死の宣告……すなわち疫病よ」 病魔を司るフィーンドの能力には、同族の悪魔さえも嫌悪するという。肉を腐らせ、骨を朽ちさせるそのおぞましい病気は、これまでいくつもの国を滅ぼしてきた。 |
フィーンド【2】
「私の可愛い病魔たち……今日も世界に満ち、溢れ、滅ぼしなさい」 フィーンドの放つ病原体に効く薬はない。多くの医者がその病気に打ち勝とうとしたが、次の日には病原体は突然変異をしてしまうのだ。病気とのいたっちごこが終わる前に、医者のほうが病に倒れてしまう。 |
フィーンド【3】
「死者を苗床に、新たな疫病が生まれてくる……この循環こそが私の力」 フィーンドが悪魔にも感染する病気をはやらせた時、悪魔たちは彼女の突然の裏切りに動転した。しかし、それは大きな誤解である。フィーンドにとって悪魔も人間も区別はない。すべて可愛い病原体の苗床なのだ。 |
フィーンド【4】
「ここに新しい世界をつくりましょう。私の疫病たちの素晴らしい世界を」 魔界の王国のひとつが陥落した。それはあまりにもあっけない最後だった。武勇で知られた幾人もの悪魔たちでも、見えざる脅威の前にはなす術もなく、名君と知られた魔界の王もフィーンドたった一人に敵わなかった。滅び去った王国は、瘴気にまみれた病魔の国へと姿を変えたのだった。 |