フルーレティ【1】
「わんちゃん、ねこちゃん、うさぎさーん。ふふ、どの子もとってもカワイイねっ」 悪魔フルーレティ。彼女は動物からゾンビを作り出す力を持つ。死臭漂う広大な墓場。そこがフルーレティの庭。そこには、様々なゾンビが虚ろな表情浮かべ、蛆と腐臭を撒き散らし、当て所なく彷徨っている。 |
フルーレティ【2】
「ボクにはね、おともだちがいっぱいいるのよ。だから毎日たのしいの、たのしいの」 不気味なゾンビ達を、フルーレティは愛おしげに抱きしめる。まるでぬいぐるみを抱きしめる少女のよう。無邪気に笑う。その様を不気味だと形容できる者はそこにはいない。いるのは、棺桶のように物言わぬ死んだ者達。 |
フルーレティ【3】
「ねぇあなた、おともだちいる? いないの? かわいそうに。じゃあボクのおともだちにしてあげる」 それはまるで、人形でおままごとをするかのよう。フルーレティは死んだネコを抱き上げて、笑顔を向ける。次の瞬間、ネコの閉じられた目蓋が開く。それは命ならぬ命が吹き込まれた瞬間であった。 |
フルーレティ【4】
「あなたもボクのおともだちになってくれるの? わぁ、ウレシーイ!」 その日、異様な悪魔を討たんとする者が現れた。フルーレティは手を叩いて喜んだ。だって、新しいお友達が来たのだから。これでまた、毎日楽しくなるだろう。腐臭と死にみちたゾンビ達の咆哮と、食い千切られる断末魔が墓場に響いた。 |