ホワイトデビル【1】
「ボクがこの時期に外出する事を、禁止する法律を作るべきじゃないかな?」 そんなジョークがジョークに思えないほど、彼女は魅力的だった。道を歩けば、ホワイトデーにかこつけた男たちのプレゼント攻勢がはじまる。彼女が男たちにバレンタインプレゼントを渡したわけではないにも関わらず。 |
ホワイトデビル【2】
「どうして……え、バレンタインには僕から幸せをもらったって? ボクが世界に存在することが最大のハッピー? ふむ、一理あるね」 口の達者な男に言いくるめられ、彼女はプレゼントを受け取った。なんだかんだ言っても、プレゼントはうれしいものなのだろう。 |
ホワイトデビル【3】
「ボクに魂をささげる? パス! パス! 趣味じゃないんだよね、そういうの」 時に重すぎるプレゼントを持ってくる男もいる。中には国をひとつ捧げると言った大富豪もいた。だが、彼女はそういうものは受け取らないことにしていた。どうせ持て余すだけだと知っているから。 |
ホワイトデビル【4】
「うん、キミはわかってるね! こういうキレイなのがうれしいんだ!」 宝石やドレスは喜んで受け取る。こういうプレゼントを渡す人には、彼女も極上のスマイルを送る。だからと言ってなびくわけではない、どこまでも小悪魔な彼女のホワイトデーだった。 |