沙悟浄【1】
「はい! ワタシがこの川の主の沙悟浄です! ここを渡るにはワタシの許可が必要なのです!」 。ここは長さ三千里とも言われる流沙河。ここを訪れた者は、そこで少女の姿を見て一様に思うだろう。こんな幼い少女がこの川の主だなんて。そんな彼らに、沙悟浄は怪しく無邪気な微笑みを見せる。 |
沙悟浄【2】
「出発いたします! 皆さんは船が動いている間、身動きせず、私語もつつしんで下さいね!」 あどけない外見にそぐわず、沙悟浄は仕事をキッチリこなすシッカリ者。それもそのはず、この妖怪は見た目よりもずっと長生きなのだ。 |
沙悟浄【3】
「残念でした!実は貴方たちの旅はここで終了なのです!あしからずっ!」 一瞬だった。凶器そのものである禍々しい宝杖で、旅人は首を掻き切られる。そして何事もなかったかのように、沙悟浄はまた舟を漕ぎ始めた。舟はシンと静まり返っていた。 |
沙悟浄【4】
「悪く思わないでくださいね!全てはワタシを天界から追放したあの人たちが悪いんです!」 沙悟浄はかつて天帝の宝である玻璃の器を割ってしまった罪で天界を追われた過去がある。その腹いせに流沙河を訪れる者を無惨に葬ることが今の彼女の唯一の生きがいなのだ。 |