バイコーン【1】
闇の世界に馬の蹄の音が聞こえる。その音はだんだんと大きくなり、やがて葦毛の馬が姿を現した。しかし、普通の馬とは違う。額には二本の角を持ち、目は血のように紅い輝きを放っている。 |
バイコーン【2】
闇から姿を現した二本角の馬は、鼻息を荒くしながら、蹄を地面に何度も叩きつける。大地は地震のように揺れ、ひび割れを起こす。奴のたてがみが放つ負のオーラが、近づく者に危険を知らせる。 |
バイコーン【3】
二本の鋭い角を生やした葦毛の馬は、身体の内から沸き上がる怒りにより、正気を失っていた。まるで誰かに操られているかのように、不規則な動きを繰り返しながら、蹄の音だけを延々と響かせる。 |
バイコーン【4】
バイコーンの身体は蒼白い闇のオーラに包まれ、生ある者を一切近づけようとはしない。二本の角は、一段と鋭さを増していた。自らと血を分けた、同じ魂を共有する奴の存在を無にするために……。 |