アスピドケロン【1】
アスピドケロンは船乗りにとって恐怖の対象である、その巨体は船をそのまま飲み込んでしまうのだ。慌てて島に上陸したとしても油断はできない。これまで、何人の船乗りたちが島ごとアスピドケロンに飲み込まれたことやら。 |
アスピドケロン【2】
ある王国がアスピドケロンの討伐のために大艦隊を差し向けたことがあった。だが、それはあまりに無謀な挑戦だった 何十隻もの戦艦がアスピドケロンに飲み込まれ、乗組員たちも全員食われた。だが、この大損害ですら、アスピドケロンにとっては朝食の狩りにすぎないのだ。 |
アスピドケロン【3】
アスピドケロンは食べるためだけに生きていると考えられてきた。だが、ある賢人がそれが誤った認識だと考えた。 アスピドケロンは喰らうほどに魔力を高め、少しずつだが成長していた。まるで何かを倒すために、力を蓄えるように。 |
アスピドケロン【4】
そして、その日がやってきた。アスピドケロンは天空に向かって膨大な魔力を吐き出した。天高くに浮かぶ太陽を撃ち落すために。そして、落下した太陽を喰らうために。 やはりアスピドケロンは食べるためだけに生きていた。この世界のすべてを食べるために。太陽すらも食べるために。 |