【万霊節】ボルフライ【1】
「死は……、平等だ。誰にでも……な」 ボルフライは死体のような女だ。虚ろな目、めったに開かぬ唇に、温度のない冷たい肌。死の戦士ボルフライは、誰も彼もから不吉がられ、恐れられる。それは、ボルフライが死そのものであるからだ。彼女は誰かを死に至らしめる為に存在している。 |
【万霊節】ボルフライ【2】
「死を……与えられたこと……誇りに思うがいい……生者には決して、味わえぬことだ……」 彼女は生き物を肉体的に損傷させることはない。その一撃は、問答無用で生き物から魂を切り離し、死に至らしめる。彼女が通り過ぎた後には生ける者など誰も残りやしない。残るのは、生を失った肉体のみ。 |
【万霊節】ボルフライ【3】
「メメント・モリ……『死を想え』。死があるからこそ……命は、生は、尊いのだ……」 死の戦士ボルフライは死すべき者だけを死に至らしめる。それが死というものだからだ。死そのものであるからこそ、ボルフライは生を尊ぶ。光なければ影ができぬように、生がなければ、死もまた存在しないからだ。 |
【万霊節】ボルフライ【4】
「生きろ。生きろ。生き抜くがいい、生ける者よ……いずれ訪れる、私<死>の為にも……」 ただ一人生き残った者に、ボルフライはそう告げ去って行く。命に、生命力に、生に溢れまみれているからこそ与えられる死は甘美なのだ。死は常に傍にある。 |