アバドン【1】
「まだまだ食べたりないわ」 穀物を食べつくす害虫は農家にとって悪魔のように映るだろう。しかし、本物の悪魔であるアバドンを前にすれば、虫など可愛く見えるに違いない。暴食の悪魔アバドンに目をつけられれば、畑には植物の根すら残らないだろう。 |
アバドン【2】
「私は食べるために生きている。これ以上に素敵な理由はないでしょ?」 アバドンにとって食事こそが人生における唯一無二の楽しみであり、生きがいである。人類にとって不幸中の幸いは、彼女がベジタリアンであり、人間の肉を食べ来ないことだろう。 |
アバドン【3】
「すべての穀物を食べつくす。それが私の夢なの」 彼女の語る夢は荒唐無稽に聞こえるかもしれない。しかし、一度でも彼女の食事風景を見れば、その言葉が本気だと分かるだろう。 |
アバドン【4】
「秋が来る……素晴らしい実りの秋よ。さぁ、楽しい食事を始めましょう」 愚かにも、農民たちがアバドンに立ち向かった。怒りに燃える彼らは、農具を武器に突進する。彼らはまだ知らない。アバドンの好物は穀物だが、決して肉を食べないわけではないのだと。 |