シェヘラザード【1】
「甘美で麗しいあたしの話……特別に聞かせてあげようか?」 麗しの姫シェヘラザードの魅力はその美しさだけではない。彼女の口から紡がれる物語は多くの人を魅了し、彼女が持つ鞭のように人々の心を縛り付けてしまう。 |
シェヘラザード【2】
「アタシの話はすべて本当に起こったこと。この星が記憶している真実の物語さ」 事実はいつも飾り気がなく、残酷で独善的だ。しなやかに見え、したたかに打ち付けるその様は、シェヘラザードの鞭のしなりによく似ている。 |
シェヘラザード【3】
「あたしの話の最後はほとんどが同じ。弱き者は強き者に屈し、服従の犬と化す。あんたの物語の結末はどうだろうね?」 世界の条理は彼女の口から語られる。やがて人々は彼女が語る言葉に酔い、世界に絶望し、世を捨てる。それこそがシェヘラザードの最も恐るべき力なのだ。 |
シェヘラザード【4】
「あたしの話を聞かせてあげるよ。あたし自身の話さ。どうだい、興味があるだろう?」 あらゆる物語の語り部として存在するシェヘラザード。その話は終わることがない。彼女が話している間も、新たな物語が生まれ続けるからだ。こうして、彼女が紡ぐ物語という名の鞭は、多くの人間の心をからめとり、決して逃がしはしない。 |