ナトロライト【1】
「地獄で灯りを見つけても、安心なんてしちゃダメよ」 暗い地獄をさまよう亡者たちは、微かでも灯りを見つければ、そこにすがるように集まる。だが、注意しなければならない。その正体はナトロライトの魔光なのかもしれないのだから。 |
ナトロライト【2】
「私の炎は熱くないわ。だって、肉も骨も燃やさないもの」 ナトロライトの優しい光は、見る者の心を癒す。亡者たちはその中に、生者だったころの幸せな自分を見るという。ところが、懐かしき温かい光に触れてしまえば一瞬で燃え尽きる。彼女の炎は魂を燃やす灯なのだ。 |
ナトロライト【3】
「魂を燃やして生まれた灯りほど、美しく切ないものはないわ」 ナトロライトは恍惚の表情で魂の炎を見つめる。彼女が灯す光は、すべて誰かの魂を燃料に輝いている。魂が見せる断末魔の光は、人々の心に夢想を呼び起こすという。 |
ナトロライト【4】
「ほら、見せて。あなたの魂の輝きを」 ナトロライトが手招きする。彼女が掲げる光に触れてはならない。だが、それと分かっていても亡者たちは彼女に明かりに群がる。こうして地獄に灯る魂の炎は、消えることなく燃え続ける。 |