ヒイシ【1】
「木は動かない?あんたは随分と大人しい木に囲まれて育ったんだね」 ヒイシは林に住む悪魔だが、彼女には歩兵の大隊を指揮する軍団長という一面もある。だが、彼女がその軍勢に囲まれている姿を見ても、そこに歩兵がいると気づく者は少ないだろう。 |
ヒイシ【2】
「さぁ、私の可愛い木の兵士たち。進軍を始めなさい」 ヒイシの命令で、林は姿を一変させる。木々は揺れ、地面から根を抜き、人間のように行進を始める。その緑の巨人たちの先頭を歩くのは、もちろんヒイシだ。 |
ヒイシ【3】
「おや?もしかして木は燃えるとでも思っているのかい?」 ヒイシは火矢で木の歩兵に対抗するドワーフの兵士たちを憐みの目で見る。ドワーフたちは気付いていない。乾かした木の枝はよく燃えるが、生きている木は燃えづらいということに。 |
ヒイシ【4】
「木の行進をなめるんじゃないよ!」 ドワーフの村は木々の進軍で踏み荒らされた。無慈悲で巨大な兵士たちは、ヒイシの指示通りすべてを押しつぶして行進を続ける。水と光さえあれば、何日でも戦い続ける恐怖の軍団は、もう誰にも止められない。 |