ピシャーチャ【1】
「私は千年の墓守、ピシャーチャ。ここに眠る屍を見守り続ける存在よ」 ピシャーチャは大陸の片隅にある寒村に住んでいる。悪魔でありながら魔界には身を置かず、気の遠くなるような長い時間を墓の近くで過ごしているのだ。 |
ピシャーチャ【2】
「この墓が誰のものなのか興味があるの?」 ピシャーチャの傍らに置かれている小さな墓石。そうと知らなければ誰も墓だと気づかないようなその石の下には、ピシャーチャの運命を決めた人物が眠っていた。 |
ピシャーチャ【3】
「私は人の肉を喰らう魔族の一族。だけど、私は彼と出会ってしまった」 ピシャーチャが出会ったのは一人の神父だった。彼女は彼を食べようとしたが、彼の話を聞いているうちに、次第に彼に興味を持つようになった。それが恋の始まりだった。 |
ピシャーチャ【4】
「私が彼の墓守を続けるのはここを死に場所に選んだからよ。いつの日か、私が飢えて倒れるその場所がここであるように」 神父を愛したピシャーチャは人の肉を食べなくなった。彼女の力は徐々に失われたが、それでも魔族と人間の間には超えることのできない寿命の差がある。神父が死してなお、ピシャーチャは人を食べていない。彼女は自分の最期をどのように迎えるか決めているのだ。 |