リル【1】
「ヨーホー!ここは死の海、賊の海!死にたくなきゃ、持ち物すべてを置いていきな」 大陸西部に位置する海峡は、近海でも有名な航海の難所である。だが、この海峡が恐れられているのは、操舵が難しいからだけではない。恐ろしい海賊も出るのだ。 |
リル【2】
「おい、何をしているんだい?早く船から飛び降りなよ。持ち物すべておいていけといっただろ。船も置いていってもらうよ」 普通の海賊が相手ならば、交渉や酌量の余地もあるだろう。しかし、リルにそんなものを期待してはいけない。彼女は人間ではなく、魔族なのだから。 |
リル【3】
「この海域はクラーケンが出るって話だね。まぁ、いいさ。海の怪物が出てきたら、どちらが海の支配者か教えてやるまでだよ」 リルは何も恐れない。彼女は自由に海を暴れまわり、欲しいものを欲しい分だけ奪い取るだけだ。そこに何の恐怖もない。 |
リル【4】
「おやおや、ようやくお出ましかい。二度とこの海ででかい顔をできなくしてやらないとね!」 リルの船にクラーケンの触手が巻き付いたとき、リルは大きな声で笑った。彼女は本当にこの瞬間を待っていたのだ。 「さぁ、怪物どうし仲良くやろうじゃないか!」 |