【魔醒】橘則光【1】
「や、やめて下さいよ……僕は戦なんて……」 天賦の才に恵まれながら、橘則光は戦いを嫌っていた。暴力は暴力を生む、という信念を持っていたからである。 |
【魔醒】橘則光【2】
「くっ……どうしても戦うというのか?」 苦渋の表情を浮かべて、橘則光は剣を抜く。刃を人に向けることは、どうしても鍬になれない。例えそれが敵であっても。 |
【魔醒】橘則光【3】
「できれば、逃げてくれ!」 橘則光が剣を振るうと、一瞬の閃光が敵を切り裂いた。その刃に触れたものは、自分が斬られたと気付く間もなく、絶命してしまうだろう。 |
【魔醒】橘則光【4】
「やめろ! これ以上……僕を怒らせるな!」 愛する人をさらわれて、橘則光は初めて本気で剣を振るった。その凄まじい剣さばきは、まるで鬼神が乗り移ったかのようであった。 |