ファラク【1】
「これは中々いいドクロが手に入ったわね」 冥界に住むファラクは、毎日死者の骨を集めている。なぜそんなことをしているのかは誰も知らないが、彼女の恐ろしさは冥界では有名であり、その理由を尋ねようとする愚か者はいなかった。 |
ファラク【2】
「今日も冥界は平和ね。骨集めくらいしかすることがないなんて」 常に暴風が吹き荒れ、死者たちの悲鳴とうめき声が交差する冥界は、決して平和な世界とは言い難い。しかし、ファラクにとって冥界はどうしようもないほど平穏で退屈な空間だった。 |
ファラク【3】
「そろそろ十分な数が集まったわね」 ファラクは混沌を愛していた。あらゆる秩序が崩壊し、混乱と狂乱が渦巻く地獄絵図を愛していた。だから、彼女は骨を集めていた。禁断の術を使い、冥界を思い通りに作り変えるために。 |
ファラク【4】
「秩序も安寧も必要ない。冥界も地上も天界も、すべて等しく混沌の海に沈めばいいのよ」 ファラクは骨に残った死者の思念を集めていた。死者が感じた恐怖や絶望の思念を具象化すれば、想像を絶する地獄絵図が生み出される。そんな混沌の塊を、ファラクはすべての世界にまき散らすための旅に出る。 |