まずはじめに
良いマップとは、適切な照明があり、
混乱のない配置がなされ、
適度なサイズであり、
しっかりとデバッグされたマップです。
目次
- まずはじめに
- 目次
- マップ作成
- Aperture Science では、被験者にとってリスタートボタンはありません。
- カスタムマップは星の数ほどあります。あなたのマップに楽しい部分がなければ、皆クリアを諦め、他のマップへと移ってしまいます。
- プレイヤーにとって挑戦的なタスクに挑戦させてみましょう。
- あまりに分かりにくい解法は避けましょう。
- 無駄に広く、難解でややこしく、同時に迷路であるようなマップは、ただプレイヤーにストレスを与え、飽きさせるだけです。
- あなたのテストチェンバーで、プレイヤーに試験させたい一番大事なことは何でしょうか?
- テストのアイディアは、実行にチャレンジを盛り込むより、発見したことによる「ひらめき」の楽しさを重視して作りましょう。
- チェンバー内を行き来するのに、毎回走りで行ったり来たりするのはプレイヤーにとってストレスが溜まります。
- 解法のフェイクは作らないように。
- 上に書いたような、レールに乗せられてパズルを解かされるような、予定調和な問題は作らないようにしましょう。
- マップに面白い見た目を持たせましょう。
- デバッグ
マップ作成
必ず明確で分かりやすい入り口と出口を作りましょう。
無駄に意地悪に作らないように。
照明をしっかりと。
光片(細長いライト)や観察室は光源になります。
複数使って、チェンバーをしっかりと明るく照らしましょう。
- 観察室は裏面に3x3x2(必ず一つ置かれるべき2マスのものは4x3x2)のスペースを要します。
だだっ広いチェンバーはもうお腹一杯です!
そのスペースを演出やパズル効果に使うのでなければ、適切なサイズに縮めましょう。
カスタムマップをいくつもプレイするのに、聖堂のような広さのマップが続けばうんざりしませんか?
Aperture Science では、被験者にとってリスタートボタンはありません。
本編はお手本になります。
Portal 2 にはストーリーがあり、設定があり、キャラクターがいます。
特にシングルプレイの場合、プレイヤーはゲーム中で死ぬ度にマップをリロードすることになり、一旦ストーリーの外に出されてしまいます。
これはゲーム体験を台無しにします。
ゲームデザインの基本として:プレイヤーをゲーム体験の外に出してしまうようなことは避けましょう。
必要であれば、プレイヤーを殺す演出をしても構いませんが、
必ずあなたの作ったゲーム世界にプレイヤーを留めるように演出しましょう。
プレイヤーがマップを手動でリスタートしなければならない状況を絶対に作り出さないように。
どこかでプレイヤーを詰まらせることがあれば、必ずプレイヤーを死なせましょう。(悪い例については下のデバッグの項を参照)
最適な方法としては汚水をおすすめします。
プレイヤーが死ぬときは、プレイヤー自身のミスを原因に。
唐突な不慮の死にプレイヤーを追い込まないように。
プレイヤーが死ぬときは、必ずミスから学び、次回どうすればいいかが分かるようにしましょう。
プレイヤーが危険に直面するよりも前に、何かしら危険を察知できるような作りにするといいでしょう。
カスタムマップは星の数ほどあります。
あなたのマップに楽しい部分がなければ、皆クリアを諦め、他のマップへと移ってしまいます。
プレイヤーにとって挑戦的なタスクに挑戦させてみましょう。
ただし出来るだけプレイヤーに「何をしたらいいか」を把握させる、開けた作りにするのが重要です。
見通しの悪い、迷路のような通路は作り過ぎないようにしましょう。
あまりに分かりにくい解法は避けましょう。
作動装置(ボタン、レーザーなど)を作った場合、最低でも Indicator Light でターゲットを明確に指し示すか、
ボタンが押された時点でプレイヤーの視点を強制的に正しい方角へ向けるなどして、プレイヤーを答えに導きます。
ひとつのボタンを押すことで、4つ先のチェンバーに小さな変化が起こるだけというような行動をさせることは、とてもストレスになります。
プレイヤーが引き起こした変化が、ガラスを通してすぐに見えるといった工夫をしましょう。
見えた先のエリアへプレイヤーをまだ行かせたくない場合でも、「見せる」ことは重要です。
無駄に広く、難解でややこしく、同時に迷路であるようなマップは、ただプレイヤーにストレスを与え、飽きさせるだけです。
マップ自体は簡単に見渡せるシンプルなもので、プレイヤー自身はその場から動く必要がなく、ただ周りを見渡すだけで何をしたらいいかが分かる。
しかし見つけた解法は挑戦的に見える。
そういったマップはプレイヤーの興味を引き付け、やる気を起こさせます。
何かを見逃していないかと、解法を見つけるために動き回るプレイヤーにとって、広すぎず、無駄に動き回る必要がないマップが理想と言えます。
平凡に見える視界のなかに解法を隠すことで、プレイヤーを夢中にさせましょう。
あなたのテストチェンバーで、プレイヤーに試験させたい一番大事なことは何でしょうか?
本編をお手本に思い出して下さい。
プレイヤーに解かせようとしているその問題は、本当に意味がありますか?
うさぎのように大きく飛び跳ねる動きを多く要求したり、無茶なキューブの積み上げなど、
あまりにテクニカルで、現実的でない動きを必要とするアクションは、プレイヤーにとってあまり楽しいことではない事が殆どです。
出来る限り、現実的な問題を作るように心掛けましょう。
Source エンジンを限界まで活用したゲーム的な問題よりも、現実の物理法則を思わせる問題の方が、よりプレイヤーに満足感を与えます。
テストのアイディアは、実行にチャレンジを盛り込むより、発見したことによる「ひらめき」の楽しさを重視して作りましょう。
これはプラットフォーム・アクションゲームではありません!
プレイヤーの誰もがスムーズに反応する良いマウス/コントローラーを持っている訳ではありません。
どうすれば解決するかが分かっているのに、それが実行・完遂できないというのは、最悪のストレスです。
チェンバー内を行き来するのに、毎回走りで行ったり来たりするのはプレイヤーにとってストレスが溜まります。
この意味でも、無意味に広い空間を取らないようにしましょう。
簡単に移動出来るように、Aerial Faith Plate を設置したり、ポータルで穴を開けて移動できるような作りにするのも良いかもしれません。
解法のフェイクは作らないように。
これは推理ゲームでもありません!あくまで、理論的なパズルを解くゲームです。
テストに関する物はすべて理論的でなければなりません。
「これは何に使うものだろう?」プレイヤーは理論を組み立て、解法を導き出します。
ただし壁パネルは例外です。
使われる必要のない白壁パネルをある程度作って壁面を装飾することも大切です。
それがなければ、レールに乗せられてパズルを解かされるような、予定調和なパズルになってしまうでしょう。
上に書いたような、レールに乗せられてパズルを解かされるような、予定調和な問題は作らないようにしましょう。
何かしらのチャレンジを盛り込むことです。
マップに面白い見た目を持たせましょう。
ポータル可の白壁と、ポータル不可の黒壁を効果的に使ってコントラストを作り、印象的で面白い見た目に作りましょう。
凹凸でメリハリを付けたり、ライトをデコレーションとして飾るのも良いでしょう。
味気のないただのブラックボックスでは、誰にとっても面白くないものです。
ただストレスを与えるだけの問題になっていませんか?
デバッグ
必ずデバッグをしましょう。カスタムマップには悪い例が沢山あります。
出口まで瞬間移動のように飛べてしまったり、途中のパズルをすっ飛ばし、一発でパズル全体を解決出来てしまったり。
原因はポータル利用の確認に穴があったり、オブジェクトをどう配置するかについて十分に考えが至っていないことから起こります。
著者の経験からすると、ひとつのマップに最低でも50回のテストプレイは必要です。
あなたの労力を注ぎ込んだマップです。
それを台無しにするもしないも、テストプレイが大事な鍵を握っています。
プレイヤーのプレイを想定して、可能性のあるルートをひとつひとつ、どこで詰まる可能性があるかをすべてチェックしましょう。
キューブが消えてしまった場合は?
プレイヤーがキューブを持って行くのを忘れてしまった場合は?
あるいは逆に置いていくべきところから持ち出してしまった場合は?
ポータルがまったく打てない場所に行ってしまったら?
何かをする前に、プレイヤーがドアを先に通ってしまったら?
他の人が作ったマップをプレイしてみましょう。
建設的な批評コメントを考えることで、自分のマップ作りにも何かヒントを思い付くかもしれません。
自分でテストする以外に、他の人にもテストプレイしてもらいましょう。
大きな修正をしたあとなら、新しい人にやってもらうのが好ましいでしょう。
他人の目は多くの新しい発見をもたらしてくれるはずです。
なお、人にテストプレイしてもらうときには、出来ればプレイを録画した .dem ファイルを作ってもらいましょう。
プレイを録画するには
- コンソールを開きます。
- 以下を入力します。demoname の部分はプレイデモの名前を付けます。
record demoname
- return/enter キーを押します。
- demoname.dem というファイルが以下の場所に保存されているはずです。
Steam\steamapps\common\portal 2\portal2
プレイを再生するには
- .dem ファイルを以下の場所に移動します。
Steam\steamapps\common\portal 2\portal2
- コンソールを開きます。
- 以下を入力します。demoname には拡張子を除いたファイル名を入れます。
playdemo demoname
- return/enter キーを押します。
注意:プレイを再生するには、事前に自分のマップを Subscribe して、マップのデータをダウンロードしておく必要があります。
そして最後に…
一作目の Portal をプレイしたことがあれば、コンパニオンキューブのことはよくご存知のはずです。
コンパニオンキューブは特別な存在で、一作目でも二作目でも常にプレイヤーの側に置いてもらうような使い方をさせるという不文律がありました。
(例:段差を登る足場にしたり、エナジーボールやレーザーを防ぐ盾にしたり…)
ひとつのマップには、ひとつのコンパニオンキューブだけにするのが理想的です。
そのマップに出てくる唯一のキューブとして使う・出口から出るのに必要不可欠・または、イースターエッグ的な使い方をするのが望ましいです。
逆に特別な演出を狙って、コンパニオンキューブを大量に置いてみるのも良いかもしれません。
(コンパニオンキューブを量産する Dispenser を使って、Aperture の技術と資源の無駄遣いを風刺的に表現するなど)
しかしその演出がプレイヤーにはっきりと伝わらなければ意味がありません。いかにもな置き方をしましょう。
明確な演出の目的もなく、闇雲にコンパニオンキューブを複数使うことは避けるべきです。