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・・・どうしてこんなことをしたのか、話を聞いてみよう。
私は彼らのもとへと駆け寄った。
「ねえ、なんでこんなひどいことをするの?」
「うるさい!!クリスマスだからって浮かれている奴らに僕らの気持ちがわかるものか!!」
そう大声で怒鳴った彼の目は、暗かった。
「セチアちゃん!危ないから下がっていて!」
サムスさんが大声で言っていたけど、ここまできたから、簡単には引き下がりたくないわ。
「教えてよ、事情。心にしまいこんでいたままじゃ、何も変わらないわよ。私でよければ、話を聞いてあげるわ。
心にあるものを解き放って、私に伝えて。・・・ね?」
あたりが静まり返っている。
先程私に怒鳴った彼は、下を向いてうつむいていた。
そして、ぽつりぽつりと語り始めた。
「僕には妹がいるんだ。誰よりも大事で、一番の心の支えである、可愛い妹が。
僕の家族は、お母さんもお父さんも交通事故で死んじゃって、僕ら2人だけが残されたんだ。
そういうこともあって僕は、自分の手で妹を守ってやらなきゃいけないと思っていた。ずっと大切にしていかなければいけないと感じていた。
だから僕は、一生懸命働いて、生きていける分のお金を稼いで、裕福ってわけではないけれど・・・幸せに妹と暮らしていたんだ。
でもある時、急に不幸なことが起こった。
妹が、病気にかかったんだ。
もう、妹に残された時間は、1年もないと言われた。
・・・もしかしたらこれが、妹にとって最後のクリスマスになるかもしれないんだ。
だから・・・
自分が悪者になってでも、おいしい食事や、素敵なプレゼントがほしかったんだ。
もしかしたらもう、来年にはいないかもしれない、大事な大事な妹を喜ばせるために。
わかっている。強盗はいけないことだと。知っているんだ。
でも、それでも、妹を喜ばせたかったんだ。素敵な思い出をつくってあげたかったんだ。
・・・ごめんなさい。悪いことをした、犯罪者になった僕は、どうすればいいのかわからない。
せめて最後に、妹に喜んでもらえるようなプレゼントを渡したかった・・・。」
それから彼は、しばらく泣き続けていた。それ以外の音や声は聞こえなかった。
・・・そうだったのね、大事な大事な妹さんのためだったのね。
私は、今目の前で泣き続けている彼と、その彼の大事な妹さんのために、何ができる?
せめて最後に、妹に喜んでもらえるようなプレゼントを渡したかった・・・。
最後に彼が放った言葉を思い出す。
そうだ、私はサンタクロースよ。なら、今私がするべきことは・・・
「・・・フォックスさん達、見ず知らずの私を案内してくれて、ありがとうございました。これ、あげます。」
「あ・・・プレゼント。2つも・・・ありがとうな。」
そして、残り一つは・・・
「はい、どうぞ。」
「!?・・・これ、僕にくれるの・・・?僕、悪いことしかしてないのに・・・?」
「私からの・・・
いや、
サンタクロースからのクリスマスプレゼントです。
・・・きっと素敵なものが入っているわ。確かめてみてね。」
私はその場から立ち去った。
後ろから彼の声が聞こえた。
「ありがとう、サンタさん!
開けてみるね!」
プレゼント箱の中には・・・?