No199 スルクフ/元ネタ解説

Last-modified: 2020-01-01 (水) 19:07:46
所属Marine nationale→Forces navales françaises libres(1942)
艦種・艦型スルクフ級巡洋潜水艦
正式名称Surcouf
名前の由来Robert Surcouf(1773-1827) フランス私掠船(海賊)艦長 イギリスの商船を襲いフランスから賞金を得ていた。さらにインド洋に出向き様々な国の商船を襲撃、その功績を称えられレジオンドヌール勲章(フランスの最高勲章)を授与されている。
起工日1927.7.1
進水日1929.11.18
フランス海軍就役日1934.4.16
自由フランス海軍就役日1940.9.15
除籍日(除籍理由)1943.12.6(1943.12.6沈没)
全長(身長)110m
基準排水量(体重)3250英t(3300t)
出力浮上時:Sulzer式ディーゼルエンジン2基2軸 7600PS(7496shp)
潜水時:メーカー不詳電動モーター2基2軸 3400PS(3353.5shp)
最高速度水上:19.0kt(35.18km/h) 水中:10.0kt(18.52km/h)
航続距離水上:10.0kt(18.52km/h)/10000海里(18520km)
水中:4.5kt(8.33km/h)/70海里(129.64km)
乗員指揮官8名 乗組員110名
装備(1942)203mm50口径M1924連装砲1基2門
M1925 37mm機関砲x2(2x1)
マキシム12.7mm機関銃x4(2x2)
550mm魚雷発射管8門(艦首固定単装4基 船尾旋回型四連装1基)
400mm旋回型四連装魚雷発射管1基4門
艦載機x1
装甲なし
その他ゲームとの性能違いゲームでは水上偵察機は載せられない
建造所Port militaire de Cherbourg, Cherbourg
(シェルブール海軍基地 フランス共和国バス・ノルマンディー地域圏マンシュ県シェルブール=オクトヴィル郡シェルブール=オクトヴィル市)
  • 1934年5月、シェルブール工廠で竣工したフランス海軍の誇る巨大な潜水艦。当時としては世界最大級の潜水艦で、帝國海軍の伊400型が出現するまでその座に就いていた。
    艦種としては巡洋潜水艦(submarine cruiser)に属し、長い航海に対応できる潜水艦として作られた。
    どちらかと言うと、シュルクーフと読むのが正しい。
  • 建造コンセプトは通商破壊。どうやら搭載してある水上機(イラストでスルクフの近くにいるやつ)で敵商船を見つけた後、潜水して接近した後浮上して、主砲で敵商船を降伏させるか撃沈させるつもりだったらしい。魚雷は高価なんで軍艦以外には使わない予定だったらしい。
    文書に表すとえぇ・・・といった感じだが、実はこのコンセプト自体はおかしなことではなく、第一次大戦中ドイツ海軍のUボートが頻繁に用いた手段であった。非武装ないし軽武装の商船に対して魚雷を節約して砲撃すれば、一度の出撃でより多くの戦果をあげられるためである。
    Uボートに散々苦しめられた英仏はこの戦法をより効率的に行うため、重巡並みの大口径砲を潜水艦に搭載したのだった。
    巨大な船体はを活かした航続距離の長さもまた、本艦がかつて苦しめられたドイツの戦法を拡大発展させたものであることを伺わせる。
  • こうして誕生したスルクフであったが、性能面ではかなり問題があった。まずディーゼルエンジンの信頼性が乏しく、故障が多発。船体の大きさが祟って、潜望鏡深度に潜航するのに通常の4~5倍かかり、
    レーダーの性能も低かった事から航空攻撃にも弱かった。
 
  • 1935年、就役したスルクフはブレストに進出。大西洋と地中海を活動範囲とし、長い期間を大西洋で過ごした。
    第二次世界大戦が勃発した1939年9月、スルクフは北大西洋で活動。イギリスに向かう船団を護衛する。
    1940年6月25日、ナチスドイツの侵攻によりフランスの軍港ブレストを脱出。ドーバー海峡を渡ってイギリスに身を寄せるが、その際に銃撃戦が発生。イギリス側が2名、フランス側が1名死者を出した。
    その後、イギリス海軍に抑留されるも自由フランス海軍に返還され、以降は連合軍の一員として戦うことになる。修理完了後、1941年12月から北大西洋の哨戒任務に就く。
    その時にグリーンランド沖でヴィシーフランス側に属した軍艦2隻を拿捕する活躍を見せた。同月8日、大東亜戦争が勃発したためスルクフは太平洋戦線に回される事となり、バミューダ諸島を出港。
    1942年2月18日、メキシコ湾で消息を絶つ。船団護衛中にアメリカ商船トムソン・ライクスと衝突し沈没したと見られ、突然の死を迎えている。乗員130名全員が死亡と判定された。

小ネタ

映画化もされ話題となった福井晴敏の小説、終戦のローレライに登場する伊507は、トムソン・ライクスに衝突、沈没したかに思われていたスルクフが実はドイツ海軍に拿捕・回収されており、武装親衛隊の資金援助により近代化改装された後、紆余曲折を経て超兵器「ローレライシステム」を引っさげ日本にやってきた・・という設定である。