プロローグ
世界を二つに分けていた断界殻の開放により、
リーゼ・マクシアとエレンピオスがひとつになって、約一年。
二千年間の断絶から解き放たれた両世界は、融和への動きを見せているものの、
様々な対立の火種は燻ったままである。
近年急成長を遂げている大企業、クランスピア社の巨大な本社ビルがそびえる、
エレンピオスの都市トリグラフ。
そこに住む平凡な青年、ルドガー・ウィル・クルスニク─
彼の元から、この物語は始まる。
国家と組織
- エレンピオス
黒匣という機械文化が栄える、先進的な技術を持った国家。
精霊が減少し、自然が枯渇しつつあったが、断界殻の開放によりマナがエレンピオスにも満たされ一時的に衰退の危機は食い止められている。
- リーゼ・マクシア
精霊術によって文明が支えられている、自然豊かな国家。
かつてはラ・シュガルとア・ジュールに二分されていたが、現在はガイアス王によって統一されている。
エレンピオスとの国力の差は大きく、社交面では苦労している。
- クランスピア社
通称クラン社。エレンピオス有数の大企業で、様々な分野でトップシェアを誇る。
断界殻が存在した頃は、異界炉計画の推進派だったが、断界殻解放後は一転、リーゼ・マクシアとの融和を進める穏健派の現政府を支持している。
- エージェント
クランスピア社の各分野におけるエキスパート社員。
エレンピオスの若者にとっては、憧れの職業。
世界を支えるもの・文化
- マナ
人間と精霊と自然、すべてを支えている根源エネルギー
- 断界殻(シェル)
かつてリーゼ・マクシアとエレンピオスを隔てていたマナの壁。
一年前に、ジュード、ミラたちが開放し消滅。
開放された膨大なマナは、人間に源霊匣普及まで黒匣を使用する猶予を与えている。
- 黒匣(ジン)
マナの塊である精霊を消費して、術を発動させるエレンピオスの機械装置。
現在は一時的にエレンピオスにもマナが満たされているため、使用しても精霊が死ぬことは無い。
- 源霊匣(オリジン)
黒匣にリーゼ・マクシアの技術を加えて開発された、次世代のシステム。
黒匣とは異なり、精霊を殺さずに術を発動させることができるが、未だ実用化には至っていない。
- GHS
黒匣を利用した遠隔通話装置。いわゆる携帯電話のようなもの。
離れた場所から、様々なデータのやりとりができる。近年急速に普及している。
その他
- カナンの地
たどり着けば、なんでも願いが叶うとされる伝説の場所。
古文書では魂の循環を司る精霊が棲んでいるといわれ、賢者クルスニクがたどりつく場所とされている。
- 正史世界
ルドガーたちが暮らす、本当の歴史が流れている世界。
世界のあるべき姿。
- 分史世界
正史世界から様々な要因で枝分かれした、可能性の世界=パラレルワールド。
大精霊クロノスの陰謀によって生み出されている。
分史世界が増え続けると、正史世界から魂のエネルギーが奪われてしまうが、時歪の因子(タイムファクター)というコアを破壊すれば消滅させることができる。
- 時歪の因子(タイムファクター)
分史世界の核となっている物体。破壊すると、その分史世界は消滅する。
- 骸核(がいかく)
クルスニク一族に伝わる変身能力。
特別な時計を鍵として発動する。
骸核を発動させた者のみが分史世界に進入し、時歪の因子を破壊することができる。
- 大精霊クロノス
マクスウェル、オリジンと並ぶ原初の三霊の一人。カナンの地の番人であると伝えられている。