【SS】ROYAL_WEDDINGーCircle=Kreußenー

Last-modified: 2023-10-10 (火) 14:09:30

これは、サークル帝国皇帝サネとクロイセン王国皇妹エーリカの結婚式の物語。
時期としてはクロイツ帝国崩壊から約3ヶ月後の11月下旬から12月上旬を想定しています。

登場人物

主要人物

  • サネ皇
    本作の主人公の1人。いつでも国民を思いやる優しい心の持ち主で、エリカ殿下に一目惚れしたそうだ。
  • ヴィルヘルム五世
    エーリカの姉にしてクロイセン王国国王及びクロイツ帝国皇帝。この政略結婚を実行に移したその人。
  • フリードリヒ・クロイセン
    エーリカの弟。まだ若いが聡明で、エーリカの帝国親衛軍司令官職を引き継いでいる。

来賓

  • ポールズ
  • クーリン
    ドリンガル王国より出席。

序章(プロローグ)─結婚前夜─

一節 エリカ殿下との出会い

私はサネ皇ことサネ=サン。サークル帝国の皇帝だ。
突然、クロイセン王国のエリカ殿下と婚姻を結ぶことになったのだ。どうやら政治的な理由らしいが、その話を聞いた時、個人的には嬉しかった。
あれは確か2か月ぐらい前。シゲ陸軍大将の弟であるアルバートに連れられて、クロイセン王国を旅行した時のことだった。

「皇帝陛下、こちらがマルブルグ・ワークス クロイセン支社の工場でございます。」
「ほう、素晴らしい工場だなぁ…」
私はマルブルグ・ワークス社がクロイセン王国に進出したことを受けて、その工場の視察も兼ねてクロイセン王国を訪れていた。

「陛下、実はクロイセンにひじょーに綺麗な方がおられましてね、ヴィルヘルム五世の妹君のエリカ殿下でございます。」
「なるほど、どんなお方なのだ?教えてくれアルバート。」
「容姿端麗で聡明なお方です。私も一度だけお会いしたことがありましてね、それはそれは綺麗なお方であらせられましたよぉん(笑)。」
アルバートの口調がおかしくなった。彼の口調がおかしくなると大抵嘘をついている可能性がある。私はエリカ殿下がどのようなお方なのか気になって仕方がない。
「そ、それは本当か?」
「本当のことでございますよ。それでは宮殿へおいでになりますか?そういうことも考えて連絡はとっております。」
「ありがとうアルバート。それでは宮殿へ行こうか。」
私とアルバートは宮殿へ向かった。

「ここがクロイセン王国の宮殿でございます。非常に綺麗でございましょう。」
「とても綺麗だなぁ!時には海外に行くというのもアリだなぁ…」
「それでは、まずはヴィルヘルム五世の元へ伺いましょう。」
「ああ、このクロイセンの皇帝陛下か。口調が独特なんだっけ?」
「コルァ!しっ!あまり大きな声だと聞こえてしまいますぞ!」
「あぁ、すまないすまない…」
そんなやりとりをしていると、一人の近衛兵が近づいてきた。
「あなたはアルバート・マール様と...サークル帝国皇帝陛下でございますか?」
「そうです。ヴィルヘルム陛下のいらっしゃるお部屋まで案内していただけますか。」
「かしこまりました。それではご案内いたします。」
近衛兵に連れられてヴィルヘルム陛下のいらっしゃるお部屋へ向かった。
「コンコン 失礼します。お客様をお連れしました。」
「ご苦労。おおっ!久しぶりだなぁ~アルバート!」
「お久しぶりでございます。ヴィルヘルム陛下。」
アルバートの人脈の広さには驚かされる。なんと他国の王室とも知り合いになっているとは思わなかった。
「それで、あなたがサークル帝国のサネ皇帝陛下か。」
「お会いできて光栄に存じます。」
「折角来たのだから少しゆっくりしていくといい。なんなら、クロイセンを案内しようか。」
ヴィルヘルム陛下のお部屋でお茶をしながら談笑をした訳だが、実はこれが初めて他国の王室と話をした瞬間だった。談笑していると、部屋の扉がコンコンと鳴った。
「失礼します。」
その一声で女性だと分かった。まさかエリカ殿下か...?その予想は的中した。
「おお、エーリカか。今ちょうどお客様がいらっしゃるのだ。ご挨拶しなさい。」
「あ...あれ?そこにいるのはマルブルグ社のアルバートさんですか?」
「そうですヨ。お久しぶりです、エリカ殿下。」
「は、はじめまして!サークル帝国皇帝のサネ=サンと申します!」
「あぁ、特別なお客様というのはあなたの事でしたか。はじめまして。ヴィルヘルム五世の妹のエーリカ・クロイセンです。よろしくおねがいします。」
なんと綺麗なお方なのだろうかと思った。しかも握手までしてくださるとは…しっとりとしていてやわらかい手だった。私は突っ立ったまましばらく頭の中が真っ白になっていた。
「皇帝陛下ぁ!お気を確かにぃいいぃぃぃ!」
アルバートの叫びで現実に引き戻された。
「サネ皇よ…心配しましたよ…。」
ヴィルヘルム陛下も声をかけてくださった。

私はこの時からすっかりエリカ殿下、いや、エーリカ・クロイセンに心を奪われてしまった。
サークル帝国に帰国してからも、すっかり彼女のことが気になっていた。
「陛下、最近調子が悪いようですが、まさか…フフフフフフ」
私の側近であり陸軍大将でもあるシゲ・マールに話しかけられた。
「い、いや…!そんなことでは…」
私はとっさに反論した。
「あっ、そうなのかぁ(笑)」
彼は全てお見通しだという顔をした。きっと弟からこっそり言われたのかもしれないが、そんな噂はぜんぜん国民の間でも話題になっていない。私は思った。アルバートとシゲは秘密を漏らさなかったのかと。やはり彼らは憎めない兄弟である。
私はずっとエーリカ殿下に会いたかった。できるなら一緒に暮らしたいと思っていた。ちょうどいいタイミングで結婚の話が舞い込んできたわけだから、私はとっても嬉しかった。
「いやったぁー!」
「おめでとうございます、皇帝陛下。」
様々な人が祝ってくれた。こんなに嬉しいことはないと思った。政治的理由であろうと、この先国家が安泰になればよいのだ、私は今でもそう信じている。
全てはサークル帝国の国民のために…。

二節─ Königin, Prinzessin und Kommandeur─

サネ皇との婚姻が決まってから二週間が経った。私はあれから、仕事の引き継ぎなどに追われ、やっと昨日全て終わらせたところだ。

「意外と沢山仕事してたのね、私。...まさか式の2日前までかかるなんて」

サークル帝国に向かうまでの束の間の休息を楽しんでいると、「コンコン」とドアを叩く音がした。

「どうぞ。入ってください」

「失礼します」

入ってきたのは私の弟、フリードリヒだった。

「あら...何の用?」

「お姉様とは明日でお別れですから...」

「お別れって別に永遠に会えないわけじゃないわよ。で、お別れだから最後にお姉ちゃんとお話しがしたかったのね?」

「あっいえ。そうではなく...帝国親衛軍の司令官職の引き継ぎを...」

ハッとした。私とした事が、最も重要なことを忘れていた。

「...あぁ、すっかり忘れてたわ」

今からで間に合うだろうか。時計は午前10時を指している。

「出発は13時。まだ間に合うわね。行きましょう」

フリードリヒを連れ、急いで司令官室へ向かう。そもそも司令官職自体は然程難しくはない。特に帝国親衛軍(通称近衛軍)は優秀な将兵ばかりだから、その補佐があれば賢いこの子なら難なくこなせるだろう。

「ここが執務室。明日からあの机があなたの席」

司令部司令官執務室の執務机。とはいえ私はあの机椅子に座ったことは殆どない。他の仕事に出ていたり、前線で指揮を執ったりしていたためだ。

「フリードリヒ。この仕事についてなんだけど」

「なんですか?」

まだフリードリヒは若い。私だって相当だけど、この子はもっとそう。本来なら15歳なんて友達と遊んで勉強して...子供時代を謳歌しているはずの年齢だ。この子にこの仕事はまだ早い。なぜお兄様はこの子を選んだのか...他にも分家に適役は居るのに。

「私は実戦ではいつも最前線まで出て指揮をしていたけど、貴方はそうする必要はないわ。ここや、野戦司令部で、優秀な参謀達と計画を練る。それでいいの」

「ですが、前線を知らねば良い指揮はとれないのでは?」

「その通りだけど、貴方にそれはまだ早いわ」

「お姉様が最初に前線に出たのは?」

「16歳だけど...この1歳の差は大きな意味を...」

「確かに当時からお姉様は大人びていて、聡明でした。私はお姉様にはなれない。でも、私だってズデーリアン元帥やボイジュンガー大将から戦術や戦略について教えていただいていますし、他のことだって沢山できるようになりました。いつまでも子供扱いしないでください!」

節々の言い回しにも、まだ童顔と言える顔つきにもまだ子供っぽさは残っている。しかしフリードリヒは、今、自分の意思を明確に示した。かつての優柔不断で、自分の意見を述べず、自らを過小評価していたフリードリヒはもう居なかった。

「...あぁ、お兄様の言葉はこう言う意味だったのね」


「お前はもう『私の妹』ではない」


サネ皇の妃となったと。そういう意味だと思っていた。でも、今なら分かる。

あなたは...もう私の弟じゃないのね

「...何かおっしゃいましたか?」

「いえ。さあ、行くわよ。まだ教えなきゃいけないことは沢山あるし、参謀達も紹介しなきゃ」

「あっ...はい!」

あなたはもう、「私が守るべき存在」じゃない。1人の人間として、男の人として、王族として自立した存在。
やっと心が決まった。心残りはもうない。
サネ皇...一度しか会ったことはないけど。私はあなたとサークル帝国に尽くします。そして、クロイセンとクロイツも救う。

「必ず...!」

もう冬だ。キングスベルクでは、新たな季節、新たな時代を迎える事を報せるように一足早く雪が降り始めていた。

一章 式典前 

鋭意執筆中 10/6頃更新予定。

コメント

  • 式典の場合も赤色テロ防止の為、神威のみを式典に参加させたいのですがよろしいでしょうか -- 20230804185613_tgsid5q8_703cb4ad.jpg北城 2023-10-01 (日) 23:10:49
  • 了解しました。 -- くるせいだー 2023-10-01 (日) 23:11:48
  • ありがとうございます -- 20230804185613_tgsid5q8_703cb4ad.jpg北城 2023-10-01 (日) 23:12:16
  • サークル帝国の某兄弟を式典に参加させてもいいですか? -- Mr.EXHAUST(編集者) 2023-10-01 (日) 23:34:15
  • そこら辺はご自由にどうぞ。執筆はどちらがします? -- くるせいだー 2023-10-01 (日) 23:40:14
  • 僕は学業が忙しいので、くるせいだーさんにお願いしてもよろしいでしょうか。 -- Mr.EXHAUST(編集者) 2023-10-01 (日) 23:44:26
  • わかりました。ただし、プロローグに関しては2人双方の視点で二章(プロローグが二章構成ってどういうことやねん)でやりたいのでサネ皇視点はよろしくお願いします。 -- くるせいだー 2023-10-01 (日) 23:49:51
  • わかりました! -- Mr.EXHAUST(編集者) 2023-10-01 (日) 23:58:06
  • 一節をサネ皇視点でよろしくお願いします -- くるせいだー 2023-10-02 (月) 00:08:49
  • おーいちょと待てー。
    俺が参加させたキャラですが、ジオティック連邦の王堂、和夢の(というより和夢出身幻夢術師代表の)桜葉、ドリンガル王国の次期国王にして幻夢獣のポールズとその執事のクーリンになります。 -- Wikiパックン 2023-10-02 (月) 00:13:17
  • あ、なるほど -- くるせいだー 2023-10-02 (月) 00:21:28
  • ヴィルヘルム五世は親しい仲だと時たま辺な喋り方をするだけなので... -- くるせいだー 2023-10-02 (月) 13:00:01
  • 了解です。 -- Mr.EXHAUST(編集者) 2023-10-02 (月) 13:04:06
  • 因みにエリカは英語読みで、ドイツ語読みだとエーリカになるので本人やヴィルヘルムにはエーリカって言わせてください。 -- くるせいだー 2023-10-02 (月) 14:24:15
  • わかりました。 -- Mr.EXHAUST(編集者) 2023-10-02 (月) 14:35:14
  • ……。 -- uflg7FuPLgaOv9Q1696775032_1696775064.jpgMr.EXHAUST(編集者) 2023-10-09 (月) 22:05:56
  • やべ、がっつり忘れてた -- くるせいだー 2023-10-10 (火) 14:09:30

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