タキザワ

Last-modified: 2024-05-27 (月) 04:10:39

【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS )】【マップ一覧( SUN / LUMINOUS )】


takizawa.png
Illustrator:夢ノ内


名前タキザワ
年齢6歳
職業頭にヤのつく自由業

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1道化師の狂気【LMN】×5
5×1
10×5
20×1


道化師の狂気【LMN】 [ABSOLUTE+]

  • 一定コンボごとにボーナスがある、強制終了のリスクを負うスキル。コンボバースト【NEW】よりもハイリスクハイリターン。
  • GRADEを上げずとも2000ノーツ以上でゲージ11本、2400ノーツ以上でゲージ12本に到達可能。
  • LUMINOUS初回プレイ時に入手できるスキルシードは、SUN PLUSまでに入手したスキルシードの数に応じて変化する(推定最大100個(GRADE101))。
    効果
    100コンボごとにボーナス+????
    JUSTICE以下50回で強制終了
    GRADEボーナス
    1+7500
    2+7510
    3+7520
    101+8495
    ▲SUN PLUS引継ぎ上限
    102+8500
    推定データ
    n
    (1~100)
    +7490
    +(n x 10)
    シード+1+10
    シード+5+50
    n
    (101~???)
    +7990
    +(n x 5)
    シード+1+5
    シード+5+25
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

開始時期最大GRADEボーナス
2023/12/21時点
LUMINOUS
SUN+286+8920
GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数
ノルマが変わるGRADEのみ抜粋して表記。

GRADE5本6本7本8本9本10本11本12本
13581013162024
233571013162024
343571013162023
413571013161923
51357912151923
70357912151922
85357912151822
117357912141821
148357911141821
167357911141721
202246811141720
249246811131720
277246811131620
297246811131619
322~246810131619
所有キャラ

所有キャラ

  • ゲキチュウマイマップで入手できるキャラクター
    バージョンマップキャラクター
    LUMINOUSオンゲキ
    Chapter4
    九條 楓
    /魅惑のプールサイド
    藍原 椿
    /宵闇シークレット?

ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 1.伝説の男タキザワ「この街でワイを知らんやつはおらん」


名前:タキザワ
年齢:6歳
職業:頭にヤのつく自由業

 この街でワイの前を横切ろうなんて愚かもんは
そうそうおらん。
 なぜなら、ワイの顔を見たら大抵のやつが
道を開けていくからや。
 まあ、たまにアホな輩もおるけどな。

 「おっさん、金持ってそうだな。
ちょっと俺たちに貸してくれねえか」
 「なんやと?」

 そう、この街に流れてきたばかりの若い連中が
それや。
 このチンピラ共は、ワイがどこの誰かを
知らんようやな。
 ホンマに無知っちゅうのは罪やのぉ。

 「おい、聞いてんのか! 痛い目に
遭いたくなきゃ――ぐぎゃっ!?」

 チンピラがなんかほざいとる間に平手打ちを
一発キメてやる。

 「なんや、これで終いか。粋がっとった割には
あっけないのう」
 「て、テメエ!」

 ワイは突っかかってきたチンピラ共を
一撃ではっ倒していく。

 「ヒョロいな、ガキンチョ共。もうちょい鍛えてから
出直してきいや」
 「な、なんだ、こいつ……」
 「あーあ、またバカなのが出てきたか。
タキザワさん、どうするこいつら?」

 ワイがじゃれついとったんを見とった若いのが
いつの間にかひょっこり現れとった。
 ホンマにどこから来たんやこいつは。

 「1回目は多目に見たるのがワイの流儀や。
適当に身ぐるみ剥いで、そのへんに捨てとけ」
 「あいよ」
 「た、タキザワ!? まさかあの伝説の男、
タキザワなのか!」
 「おい、若いの。口の聞き方には気をつけや」
 「がはっ!?」

 口がなってないガキに一発、教育を入れて
ワイは繁華街を歩き始める。
 肩で風を切って繁華街のど真ん中を歩く。
 誰もが羨むそんな存在。
 語られる武勇伝は星の数。
 だからこそワイは生ける伝説なんや。

 今日は馴染みの店に顔を出す予定。
 どんな店かいうたら、そら決まっとる。
 男の、繁華街の行きつけ言うたら――

 「さあ、ギャンブルの始まりや。今日も大勝ちで
大儲けしたるで!」

 最近のワイのトレンドはギャンブル。
 ケンカではもう味わえへん興奮と緊張感が
ここにはある。
 勝ったときなんかは脳汁が止まらへん。

 「また来てるんだね、タキザワくん」
 「なんや不良刑務官も来とったんか」
 「やめなさいよ、ここじゃ刑務官ってのは
色々とまずいんだから」

 コイツはハゲワシの刑務官オオカワ。
 一応、刑務官の中ではまとめ役やったから
裏でワイらは班長呼んどったわ。

 「はいはい。で、オオカワはまたギャンブルで
負けとったんか?」
 「いつも負けてるみたいに言わないでくれないかな。
今日は少しだけ勝ってるんだからね」
 「そらよかったわ。……で、わざわざ絡みに来たんは
なんでや」
 「おっと、なんでそう思うのかな」
 「お前がワイに話しかけてきたからや。
いつもはこっちから行かんと近づきもせんくせに」
 「そうだったかな、忘れてしまったよ」
 「いいから、話があるんやったらはよせえ」
 「実はキミに儲け話があってね。ちょっと僕と
一山当ててみないかい?」
 「なに言うとるんや。ホンマの儲け話やったら、
お前が独り占めするやろ」
 「ひとりだとちょっと厄介でね。どうしても、キミに
手伝ってもらいたいんだよ」
 「手伝い?」
 「刑務所に入ったとき、いろいろ融通して
あげたじゃない。その恩を返すと思ってさ。
それに、キミもお金があるほうがいいでしょ」
 「まあ、あるに越したことはないな」
 「知ってますよ、借金のこと。取り立てを返り討ちに
したとかなんとか」
 「……よう知っとんな」

 正直、ギャンブルを嗜むようになってからは
金がいくらあっても足りへん。
 むしろ、負けが混んできてでかい借金が
できてしもうとる状況や。
 なんとか借金取りの目を盗んで負けた金を
取り返そう思とるがなかなかうまくいかん。
 ホンマに金になるっていうんやったら、
乗っかるのも悪くないかもな。

 「ええやろ、乗ったるわ。で? ワイはなにを
やればええんや」
 「まずはそうですね。ここで詳しい話は
できないので、刑務所に入ってもらいましょうか」
 「……は?」

 こうしてワイはオオカワが管理しとる刑務所に
入ることになってしもうた。
 あんな大変な思いをするわかっとったら、
ここで断っとったやろな。


EPISODE2 2.刑務所大作戦「金のためやったら刑務所やろうが穴掘りやろうが、なんでもしたるわ!」


なんも悪いことしとらんのに、金を手に入れるため、
刑務所に入ることになったワイ。
 まあ、ムショ生活は慣れたもんやから別にそこは
ええんやけど。
 牢屋で適当に過ごしとったワイに、やっとオオカワが
会いに来た。

 「このままオジイになるまで待たされる思うたで。
それでムショに入ったんはええけど、これから
なにするんか聞いてへんで」
 「簡単ですよ、これから案内します」

 そう言ってワイを牢屋から出すと、オオカワは
刑務所の中を進んでいく。
 すると山の中を掘っているのか、まるでトンネルを
作ってるような場所に入る。

 「なんや、刑務所拡張中か?」
 「いえ、実はあるものを掘り出そうとしている
途中なんですよ」
 「あるもの?」
 「ええ、タキザワくんに手伝ってほしいというのは
それを掘り出すことなんです」

 そう言うオオカワの手には、いつの間にかスコップと
つるはしがあった。

 「おい、まさかそれで穴掘って銀行の金庫にでも
忍び込もう言うんちゃうやろな」
 「まさか、そんな漫画や小説みたいな馬鹿なこと
しませんよ。僕の話はもっと現実的なんですから」
 「ええからはよ話せ」
 「この刑務所は山の中にあるのは知ってますね。
実はここは金脈やダイヤモンドの原石などが大量に
眠っているという情報があるんですよ」
 「……アホか。そないなウマい話がどこにある
言うねん」
 「ここにねえ、あるんですよ」

 馬鹿にしようと笑ってみせるが、オオカワは
大真面目らしい。
 ホンマにやるつもりの目やぞ、あれ。

 「これは確かなスジの情報なんです。手に入れば
借金なんてすぐにチャラになりますよ」
 「ホンマにあったらの話やけどな」

 まあ、借金返せるんやったらなんでもええわ。
 なにより、ムショに入っとったら面倒な連中に
追い回されんで済むしな。
 こんなに安全な場所も他にはないやろ。

 「これ給料でえへんの?」
 「少しだけなら出ますよ。とはいえ、
たかが知れていますけどね」
 「まあ、しゃあないか」

 ワイはオオカワからつるはしを受け取って
トンネルの奥へと進む。
 といっても、大して深くもないトンネルで
すぐに行き止まり。
 どこまで掘ればええんかわからんけど、
やるだけやるか。
 どうせやることもないしな。


EPISODE3 3.トンネル作り「ようわからん新人が来たけど、足手まといにならんやろか」


刑務所生活2週間目。
 最初は汗臭い仕事やと思って文句しか
言ってへんかったけど慣れってのは怖いもんや。
 起きて飯食って、つるはし持ってトンネル掘って。
 こんな生活が当たり前になってきよった。
 そんなある日のことや。
 オオカワがあいつを連れてきよったんは。

 「誰や、それ」
 「新人ですよ、タキザワくんのお手伝い。
1人だとなにかと大変でしょう」

 穴を掘って、土をトロッコで外に運び出して、
また掘って。
 これをひとりでやるのは体力的にというより、
気分的にしんどかった。
 たまにオオカワが話し相手になるが、
それもちょっとの間だけやしな。

 「今更かいな。いつまでワイをワンオペで
働かすんかと思うたわ……で、それがそのお手伝い
ってやつか」
 「あ、あの……」

 イタチはもじもじとはっきりとものを言わない。

 「なんや、言いたいことがあるんやったら
はっきり喋らんかい」
 「す、すみません! お、俺イトウって言います!」
 「イトウか、覚えやすい名前で助かるわ。
ワイはタキザワや、よろしゅうな」
 「よろしくお願いします!」
 「なんや、真面目な男やな。お前、ここでなにするか
聞いとんのか?」
 「お金ですよね、頑張ります!」
 「イトウくんも借金を抱えててね。保証人なんかに
なったりしたからなんだけど」
 「コッテコテな話やな」
 「どこかの島に流されそうになってまして、
それを私が引き取ってきたんですよ」

 そういや、どっかで話聞いたことあるな。
 借金のカタに全身の毛を刈られて売られたり、
どこぞの島に送られて強制労働させられるとか。
 そんなとこに比べたら、穴掘りのほうが
全然マシやな。

 「タキザワくんの隣の牢屋ですから、なにかと
教えてあげてくださいね」
 「しゃあないな」
 「よろしくお願いします!」
 「わかったから、そないにかしこまんな。
ほな穴掘りから教えてくか」

 ワイはイトウを連れて掘っている最中の
トンネルへと向かった。
 なんやイトウはホンマになにをするのか
細かいことは聞いとらんかったらしい。
 穴掘ることも今知ったみたいな反応やった。

 「とりあえず、手本見せるから、ちゃんと見て
覚えるんやで」
 「は、はい!」
 「おりゃりゃりゃりゃあ!」

 力強くつるはしを土壁に突き立てて、ガンガンと
掘り進んでいく。
 見ていたイトウはおお、と感心したように声を
上げた。

 「どうや、できそうか」
 「すごいですね、タキザワさん! こんなに力強い
掘り方、始めてみました!」
 「掘り方ってなんやねん。褒められても
全然嬉しないわ」

 そのあともこれからやることを面倒やが
説明していく。
 しかし、最初おどおどしとったやつとは思えんほど
リアクションがでかい。
 こんなやつとこれから一緒にやっていく思ったら
ホンマしんどいわ。
 まあ、人手が増えたんはええことや。
 ワイは精々、楽させてもらおうやないか。


EPISODE4 4.束の間の休息「今どき珍しいお人好しやな。まあ、ワイは嫌いやないで」


刑務所生活1ヶ月目。
 ここでの生活も慣れてきたところやけど、ホンマに
変わった刑務所やいうことがわかってきた。
 刑務作業としてトンネルを掘らされとるが、他にも
ちゃんと服役中の輩はおる。
 どいつもこいつも一癖も二癖もある連中やが、
そこはまあ触れんでええやろ。
 大事なんはここからや。
 変わっとる思うたんは刑務時間中と終了後の
休憩時間。
 服役者が自由に飲み食いできるように店があるんやが
そこでは麦ジュースも取り扱っとる。
 オオカワが言うには、これが一番金になるらしい。
 確かに値は張るが、仕事終わりの一杯が飲みたい
っちゅう人情はわからんでもないわ。
 現にワイがそうやからな。

 「しっかし、ホンマに高いのう」
 「なにがですか?」
 「麦ジュースや。ムショで買おう思うたら外の値段の
倍近くかかるんやで」
 「ああ、確かに高いですね」

 というか、いつの間にコイツはワイの隣に
おったんや。
 まるで舎弟みたいにどこ行くにもついてきよる。

 「お前も飲める口か?」
 「少し飲むくらいですけど、相場はわかりますよ」
 「さよか、まあええわ」
 「あれ、飲まないんですか?」

 イトウが店から出ていこうとするワイを引き止める。

 「高いって話をしたばっかやろ。贅沢するような
金なんてワイは持ち合わせてへんわ」

 ムショで贅沢できるんは、入る前から金持っとる
やつだけ。
 ここでは普通に口座の金は使えるし、カード類も
生きとる。

 「麦ジュースの話をしていたので、てっきり
飲むのかと思ってましたよ」
 「だから金がない言うとるやろ。
なんも聞いてへんな」
 「じゃあ、俺がおごりますよ! お金ならちょっと
蓄えがあるので」
 「はあ? お前も借金しとったやろ」
 「ええ、ですからここに入ってからのお金で
買うんですよ?」
 「そないに持っとるんか」
 「だって、食事は普通に出てきますし、お金を
使うことなんてなくて」
 「嘘やろ」

 宵越しの銭は持たん。
 給料なんて出たら、すぐに使うやろ。
 そういや、こいつが金使ってるところ、
見たことなかったかもしれん。

 「どうですか、一緒に1杯!」
 「うーん……」

 はっきり言って乗り気やない。
 施しを受け取るようやし、なによりワイより年下に
奢られるなんて許されへん。
 この伝説の男、タキザワのプライドがな。

 「ええっと、深く考えないでください。これから
お世話になりますし、一緒に仕事していく
同僚なんですから」
 「仕事仲間やとそういうの普通なんか?」
 「俺が働いてた会社だとそうでしたね。
奢り奢られって感じで」
 「会社で働いたことなんてないからの。
知らんかったわ」
 「そういうことなので、今日は俺が奢ります。
なのでいつかタキザワさんも奢ってくださいね」
 「……そういうことならええわ。貸し一つって
ことやな」
 「じゃあ、買ってきます。これとこれとこれで
いいですよね」
 「おう、任せるわ」

 イトウが適当に見繕って飲み物を買ってくる。
 つまみくらいはワイが用意したろうと思ったが
しっかりそこも先を越されてしまう。

 「あっ、おつまみも買ってきますよ。ポテチと缶詰で
いいですよね」

 よう見とるというか、抜け目がないというか。
 イトウが買ってきたものを近くにあるテーブルに
並べる。
 豪華とは言えへんけど宅飲みっぽくてええわ。

 「じゃあ、飲みましょう」
 「なんや乾杯の音頭もないんか。一言くらいあっても
ええやろ」
 「え? ええっと、それじゃあ……未来の大金に!」
 「なんやそれ」
 「だ、ダメですかね?」
 「ふっ、まあええんとちゃうか。いつか手に入れる
未来の大金に乾杯や!」
 「乾杯!」

 手に持った缶をカンっと合わせて一気に喉へ
流し込む。

 「くはあっ! キンキンに冷えてんな!
麦ジュースはこうでないとあかん!」
 「ぷはあっ、いやあ久しぶりに飲みましたけど
誰かと飲むのはいいもんですね」
 「……お前、確か連帯保証人で借金背負わされた
言うとったな」
 「え、ええ、そうですけど。急にどうしたんですか」
 「いや、ワイがお前ともうちょい前に会っとったら
お人好しなんやから騙されんように気をつけろ、って
忠告できたんやけどって思っただけや」
 「あはは、時すでに遅しってやつですね」
 「笑いこっちゃないやろ、ホンマに」
 「そんなことよりもほら。おつまみもありますから
食べてください」
 「言われんでももらうで。お前の分がなくならんと
ええけどな」

 イトウやないけど、ひとりでかっ込んでいたときとは
またちがう感じや。
 人と飲む1杯ってのはホンマにうまいもんやな。


EPISODE5 5.底の底「ワイはひとりで戦っとるんやない。イトウとふたりなんや、負けてられるかい」


刑務所生活2ヶ月目。
 ワイとイトウは毎日のようにトンネルを掘って
掘って掘りまくっとる。
 やけど、お宝が出てくる気配はせえへんかった。

 「ああもう、なんやねん。いつになったら金銀財宝が
出てくるんや!」
 「落ち着いてくださいよ。すぐに出てきたら
財宝じゃないですって」
 「そないなことワイもわかっとるわ。せやけど、
金の欠片も出てこんのはどういうことや」
 「ま、まあ、確かに金脈があるなら、痕跡くらい
出てきてもおかしくないんですけどね」
 「せやろ! せやからおかしい言うとるんや」

 バカバカしくなってきたワイはその場に座り込む。
 あるかどうかもわからんもんをこれ以上探すんは
馬鹿らしい思うてしもうた。

 「タキザワさん、掘らないと。あるとかないとかじゃ
なくて、これ仕事ですし」
 「知らんわ! やりたいんやったらお前ひとりで
やっとけ」
 「わかりました! 俺がやっときますから、
また頑張ろうってなるまで休んでいてください!」

 そう言ってイトウはつるはしを手に取り、ワイが
掘っていた場所を掘り始める。
 腰に力が入っていないし、掘り出すには腕力が
足りていない。
 それでもイトウは掘り続けようとしていた。

 「なんやねん、お前。あるかどうかも
わからんのやぞ。オオカワに騙された思わんのか」
 「だって、オオカワさんはあるって言ってました。
確かな情報だって」
 「せやけどな」
 「こういうのって、やらなきゃわからない
じゃないですか。あと1メートル掘っていれば
出てたかもしれないって後悔したくないですから!」
 「お前……」
 「うわあっ!?」

 バランスを崩したイトウを慌てて支える。

 「なにしてんねん」
 「す、すみません、慣れていなくて」
 「お前はそこまでして金欲しいんかいな。
他にも方法があるんとちゃうか」
 「ええっと、それもありますけど……」
 「けど、なんやねん」
 「ひとりで頑張るよりも、ふたりで頑張って
稼ぐほうが楽しくないですか?」
 「はあ!?」
 「だから、タキザワさんとふたりで手に入れる、
それが大事なんですよ!」
 「わけわからん……」
 「こういうの嫌いですか?」
 「……せやな」

 イトウからつるはしを奪い取ると、ワイは土壁に
向かって、ガンっと振り下ろす。

 「タキザワさん!?」
 「力仕事に慣れてへんのやから、大人しく土でも
運び出しとけ」
 「さすがタキザワさん。俺とは全然違いますね!」
 「ええっちゅうねん。そんなことより、さっさと
土運ばんかい」
 「はい!」

 元気な返事と共にワイが掘り出した土をイトウが
せっせと外へ運び出す。
 どこか嬉しそうなのが腹立たしい。

 「でも、言うこともわかるわ。あと1センチ掘って
おけば出てきたのになんて笑い話にもならへんわな」

 ワイは今までなんでもひとりでやってきた。
 誰かとなにかをするなんて、考えたことも
あらへんかったわ。
 でも、今はちゃうな。
 あんなようわからんこと熱弁されて、悪うないと
思うてしもた。

 「ったく、あとちょっとだけや。
あいつが飽きるまでは付き合ったるわ」
 「あっ! タキザワさん!」
 「なんや、問題でもあったんか」
 「金が手に入ったら飲みに行きましょ。俺、いい店
知ってるですよ!」
 「ふん、見つかったらな!」


EPISODE6 6.地金レース「競争相手がなんや言うねん。こっちは伝説作ってきた男やぞ、なめんな!」


刑務所生活2ヶ月半目。
 ワイとイトウの連携もうまく取れるようになって
掘り進めるペースも早うなってきた。
 肉体労働は別に気にはならへんけど、そろそろ小判の
ひとつでも出てきてほしいところや。

 「山の中に小判なんて出てくるんですかね?」
 「なにを馬鹿真面目に答えとんねん、例えや例え。
ワイも小判が出てくるとは思っとらんわ」
 「でも、山の中を掘ってると思ったら、
なにかお宝が出てくるんじゃないかってロマンは
ありますよね!」
 「ロマンだけじゃ金にならんのやで」
 「ええ、まったくそのとおりです」

 ワイたちの会話に割り込むように、どこからか
オオカワがトンネルの中に入ってきた。

 「なんや、現場視察か。悪いけどなんも
出てきてへんで」
 「それだと困るんですよ。こちらもお金がかかって
いるんですから」
 「おいおい、宝が出てこないのはワイらのせい
ちゃうやろ!」
 「それはわかっていますよ。でもね、時間が
ないんです」
 「ワイの借金取りから催促でも来たんか」
 「今まで黙っていたんですが、実はこの
採掘レースには他にも競争相手がいまして」
 「はあ!? そんなん聞いてへんで!」
 「ええ、本当のところは早いもの勝ちで
タキザワくんほどの進みではないと聞いていますが
こればかりは運ですから」
 「のんびりやっとる場合とちゃうやんけ!
おい、イトウやるぞ!」
 「や、やるって?」
 「掘って掘って掘りまくるんや! ここまで来て
他の連中に取られるなんておもろないやんけ!」
 「でも、そもそもあるかどうかわからないって
言ったのはタキザワさんで――」
 「なかったらなかったで構わへん。やりきらんと
気持ち悪いやろが!」

 今まではトンネルが崩れるかもしれないと力を
加減していたが、もうそんな余裕はない。
 ワイは全力でつるはしをぶん回す。
 ガリガリガリと音を立てて、土壁が一気に
削れていく。
 その様子を見ていたイトウたちからは驚きの声が
上がった。

 「す、すごい、まるで機械を使ってるみたいです。
僕のほうが間に合わないよ!」

 イトウは慌てて削り取られた土を運び出そうとするが
ワイの速さに着いてこれてへんかった。

 「ま、待って、早すぎです!」
 「おい、お前はワイの相棒なんや。これくらい
合わせてもらわんと困るで!」
 「ぼ、僕のことを相棒って呼びましたか!?
でも、まだまだ力不足で……」
 「そんなことはわかっとんねん。力不足とか
そういうのは今はどうでもええ。ワイとお前、
ふたりでチームタキザワなんや! 気張らんかい!」
 「タキザワさん……はい、負けないよう頑張ります!
うおおおおお、やるぞおおおおおっ!」

 気合が入ったイトウがじゃんじゃん土を運び出し
ワイのペースに少しずつ合い始める。

 「いやいや、いいコンビですね。これなら目的の
ものを掘り出せそうですよ。さすが伝説の男です」
 「おい、わかっとるやろな。これでなんも
出てこんかったら、タダじゃおかへんぞ!」
 「大丈夫ですよ、タキザワくん。出なかったら情報を
売ってきた相手に迷惑料を請求するだけ」

 そう言いながらオオカワがゲスい笑みを浮かべる。
 ホンマにこいつならえらい金額をふっかけそうやわ。

 「そういえば、伝説の男って言ってましたけど
なにが伝説なんですか?」
 「それはですね――」
 「おい、無駄話してる暇あったら手動かさんかい!」
 「す、すみません!」
 「まあ、話はあとでいいでしょう。1杯飲みながら
聞かせてあげますよ」
 「ったく、余計なことまで言うんやないぞ」

 このあと、ついつい全力を出しすぎたワイが
ヘトヘトになるまで作業は続いた。
 ホンマにこれでなんもなかったら、どないしようか。
 土木工事の業者にでもなったろうかな。


EPISODE7 7.終着点「やっとや、やっと手に入れたんや!この金でワイは天下取ったるで!」


刑務所生活3ヶ月目。
 ワイとイトウで掘りに掘りまくって山の反対側まで
着きそうな勢いだった。
 だが、肝心のお宝は見えてこない。
 オオカワの話では他の競争相手からも出てきたって
報告も入ってないとのことや。

 「ワイの一生は穴掘り続けて終わるんかな」
 「なに言ってるんですか。山だってどこまでも
続いてるわけじゃないんですからいつか終わりますよ」
 「そういう真面目な答えはええねん。ワイは心が
折れそうやって言うとるだけや」
 「またもう掘りたいくないって言うんですか」
 「またってなんやねん」
 「前につるはし放り出してダダこねてたじゃ
ないですか」
 「だ、誰がダダこねたんやええ加減なこと
言うなよ!」

 そうやって笑うイトウに自然とワイも顔が
緩んでしまう。

 「お前、ワイのことは聞いたやろ。
なのに、ようそんな口が聞けるな」
 「伝説の男ってやつですか? うーん、
そう言われても僕にとってタキザワさんは
タキザワさんですから」
 「ホンマ、変わったやつやな」
 「そうでしょうか」
 「さて、そろそろ休憩は終いや。さっさと
掘りいこか」
 「結局、やるんですね。なんだったら、僕が代わりに
掘りましょうか」
 「……アホか、やれるんはワイだけやろ。お前の
へっぴり腰じゃ、それこそ一生かかっても
見つからへんやろ」
 「僕もそう思います」

 ワイは気合を入れてつるはしを土壁に突き立てようと
するが――ガキン、と硬いなにかにぶつかる音がした。

 「うおっ!? なんやなんや。えらい硬いもんが
あるみたいやぞ」
 「岩盤ですかね。ダイナマイトありますけど
使いますか?」
 「まずはなにか見てからや。ちょっと土どかすから
手伝え」
 「はい!」

 ワイとイトウでなにが邪魔しとるのか見るために
土を払っていく。
 するとキラキラとなにか光るものが出てくる。

 「なんやこの黄色いのは?」
 「ちょっと見せてもらっていいですか」

 イトウが掘り出した石を砕いたりしながら念入りに
調べ始める。

 「……なっ? タキザワさん、これ金鉱石ですよ!」
 「金鉱石ってことは……金か!?」
 「間違いありません。見逃したらまずいと思って
ちゃんと勉強してきたんですよ」
 「おおおおおっ! あったんや、ホンマに金は
あったんやあああああ!」
 「やりましたよ、タキザワさん! これで借金返して
俺たち億万長者ですよ!」

 ワイとイトウは抱き合いながらはしゃぎ散らかした。
 今まで味わったことがないような達成感に今にも
涙が出そうや。

 「てか、イトウ泣いとるやんけ」
 「だって、だって……ここまで諦めずにきて、
タキザワさんとふたりで頑張ってきたから……」
 「や、やめえや! 男やったらこんなことで
泣くんやない」

 イトウからもらい泣きしそうなのを我慢して、ワイは
オオカワに連絡を取った。
 あいつがこっちに来るまで時間があるし、今のうちに
掘り出しとくか。

 「イトウ、ちょっとコイツ掘り出すぞ。……おい、
聞いとんのか」

 なにか後ろでゴソゴソしていたイトウを呼ぶと
ゆっくりこちらへ向いた。

 「ええ、聞いてますよ」
 「……お前、それはなんや」

 その手にあったのは一丁の銃だった。

 「いやあ、本当に出てくるとは思いませんでした。
ありがとうございます、タキザワさん」
 「どういうつもりや」
 「俺はね、金が必要なんですよ。3人で分けるより、
2人で分けたほうがいいじゃないですか」
 「……テメエ」
 「さあ、覚悟してください。いくら貴方でも
撃たれたらお終いですよ」

 震える手でチャカをワイの方へと向ける。
 引き金に指はかかっとるから、ホンマに撃つつもりは
あるみたいや。

 「お前には笑いのセンスはないみたいやな。
もうちょい勉強してこい」
 「な、なにを!」
 「誰に持たされたんや、そんなオモチャ」
 「お、オモチャじゃないですよ! これはちゃんと
本物で!」
 「アホか、カタギは騙せるかも知れへんけど
ワイが騙されると思うとるんか。本物を何回も
見てきてんねんぞ、こっちは」
 「え、ええっと……あれえ、絶対に騙せるって
オオカワさんが言ってたのにな」
 「あれの入れ知恵かい。まったく、しょうもないこと
しよって」
 「あっ、でもこれ本物じゃないですけど、
こうやって」

 そう言ってイトウが引き金を引くと、クラッカーの
ようなパンッという音と一緒に紙やリボンが
飛び出してくる。

 「金発見、おめでとうございます! わあああ、
パチパチパチ!」
 「お前、こんなことするためにわざわざそないな
小道具用意しとったんかい」
 「驚かせようと思ったのにあっさり見抜くから!
ほら、お金絡みで裏切り者が出るのってドラマとかで
よくある展開じゃないですか!」
 「やとしたら、配役ミスやな。オオカワなら
ワンチャンあったかもしれんけど、お前がワイを
裏切るような真似するわけないやんけ」
 「なんでそう思うんですか?」
 「ワイが今まで会ってきたやつの中で一番のお人好し
やからや」
 「喜ぶところなのかな、それって」

 こんなふざけ合えるような仲になるなんて
最初会ったときは思わんかったな。
 とりあえず、ワイたちはオオカワが来るまで金鉱石を
掘り出すことにした。

 ――しばらくして。
 トロッコに乗せれるだけ金鉱石を積んだ頃に
オオカワがやってきた。

 「なにやら楽しそうですね。金が見つかったから
当然でしょうが」
 「おい、オオカワ。イトウに
いらん知恵つけさせんな」
 「ああ、銃ですか。だからすぐバレますよって
言いましたよ」
 「うっ……」
 「そんなことよりも……確かに金鉱石ですね。
では手っ取り早くダイナマイトで吹き飛ばしましょう」
 「え?」

 言い終わると同時にオオカワが色々なところに
ダイナマイトを仕掛け始める。

 「ちょっ!? そないに仕掛けて大丈夫なんか!
爆発に巻き込まれるなんて嫌やで!」
 「大丈夫ですよ。これくらいで崩れるような地盤では
ありませんから。それは掘っていたタキザワくんが
よく知ってるでしょ」
 「そ、それはそうやけど!」
 「では、出発しましょうか」

 そう言ってオオカワがさっさとトロッコに乗り込む。
 ワイとイトウも続いてトロッコに乗り込み、出口に
向かって出発する。
 金鉱石を大量に積んでいるからか、トロッコの速度は
遅い。

 「さて、そろそろいいですかね。十分に距離は
取れましたから」
 「オオカワ、もう一回確認するけどホンマに
大丈夫なんか?」
 「ええ、もちろん。カウントダウン行きますよ。
3、2、1、爆破!」

 ドン、という爆音となにかが崩れるような音が
聞こえてくる。
 たぶん、爆破で土壁が崩れたんやろな。
 オオカワが言ってた通り、ワイらに影響は
ないみたいでホッとした。

 「あとは往復しながら金を運び出せばワイらは
億万長者や!」
 「その前に売店で祝杯上げませんか。
俺、奮発します!」
 「いいですね、僕もたまには奢りますよ。
あるとわかっているから諸々の手配はあとでも
いいですからね」
 「よっしゃ! じゃあ、戻ったらまずは
麦ジュースで祝杯や!」

 しかし、ここでワイは妙な違和感を覚える。
 なんか変や、なにがおかしいんやろか。

 「あ、あの、俺の気のせいかもしれませんけど
トンネルの奥からの音大きくなってませんか?」
 「おお、ホンマや! ワイが感じ取った違和感は
これか!」
 「……まずいですね、後ろを見てください」
 「え? な、なんじゃこりゃ!?」

 トロッコの後方、トンネルを掘るために置いといた
明かりが次々と消えている。
 それと合わせて掘ってきたトンネルにどんどんヒビが
広がってきていた。

 「おい、崩れることはない言うとったやんけ!」
 「僕もそうだと思っていたんですが……」
 「前にオオカワさんが言ってましたけど、
もしかして色んな方向から山を掘ってたから、
地盤がもろくなってるんじゃ……」
 「ああ、なるほど」
 「なるほどとちゃうわ! おい、どないすんねん。
このままじゃワイら生き埋めやぞ!」
 「大丈夫ですよ、爆破位置からは十分に離れて――」

 そう言うオオカワの顔にはまったく余裕がなく、
ワイたちにも崩れた土が上から振ってきていた。

 「早う逃げんと! どんどんスピード上げてけ!」
 「重すぎてこれ以上は無理ですよ!」
 「じゃあ、どないすんねん!」
 「金鉱石を捨てましょう。そうすれば、トロッコが
軽くなります!」
 「あ、アホなこと言うな! これのために汗水流して
働いてきたんやぞ。捨ててたまるか!」
 「なに言ってるんです。お金と命、どっちが
大切なんですか!」
 「金に決まっとるやろが! 金は命より重いって
言葉を知らんのかいな!」
 「俺は命のほうが大事です! 捨てますよ、
捨てちゃいますよ、捨てますからね!」
 「ああっ!?」

 ワイの答えを待たずにイトウがどんどん積んどった
金鉱石を捨て始める。

 「やめろ、やめてくれ!」
 「諦めてください、タキザワさん!」
 「わかった、もうわかったから。捨てるんやったら、
自分の手で捨てる!」

 ワイは積んどる金鉱石を手にして、迷いを
振り切るようにそれを投げ捨てる。

 「金が、ワイらの金が! ぬあああああっ、
金があああああっ!」

 金を捨てるたびに目からなにかがこぼれ落ちる。
 違う、これは泣いとるんやない。
 心の汗が溢れ出とるだけなんや。


EPISODE8 8.穴掘りのタキザワ「こんなところで終わるワイやないで。伝説っちゅうのはどん底から作ってくもんなんや!」


カンカンとつるはしが土壁を叩く音が
トンネルの中に響く。

 「イトウ! そろそろ土溜まってきたから
運んでくれ!」
 「はい、すぐ行きます!」

 崩落事件から数日が経っていた。
 結局、なんとか数個の金鉱石を持ち出せたが
そんなもんで借金を返すのは無理や。
 せやけど、ワイらには一発逆転の秘策がある。
 それは――

 「ここに金があることはわかっとるんや。
掘って掘って掘り倒したる!」
 「まったくどうしてこんなことに」
 「こら、オオカワ。サボっとるんちゃうぞ!」
 「わかってますよ……」

 渋々と手を動かすオオカワ。
 実は今回めでたいことにこいつもワイらと同じ
借金仲間に入った。
 そらそうやろ。
 なんせ、ダイナマイト使って刑務所おじゃんにした
張本人なんやから。
 今は道具やらなんやらを昔のコネ使って用意する
ワイらの調達係になっとる。

 「んっ!? これ金とちゃうか!」

 キラリと光った石に一目散に飛びつく。
 だが、それは金ではなく、ただの石だった。
 もう光るもの全部が金に見えてしまう。

 「ああ、クソ。紛らわしんじゃボケ!
こんなところに転がっとんちゃうぞ!」
 「落ち着いてくださいよ、タキザワさん。
まだまだ始まったばかりじゃないですか」
 「ああ、もう! ホンマ、いつになったら
借金返せんねん!」

 文句を言いながら、ワイはつるはしを手に
それを土壁へと突き立てる。
 金への道はまだまだ遠い。
 けど、諦めたりせえへんからな。

 「待っとれよ、ワイらの金! 絶対に、
ぜえええったいに掘り出したるからな!」

 ここから、ワイの新しい伝説が始まるんや!

 伝説の男タキザワ ―完―



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WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
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