挑戦者No.X

Last-modified: 2015-06-27 (土) 22:45:44
48 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:10:55 ID:???
へびぃ氏作 【流石兄妹の華麗なる休日~百ベビ組手~】
 便乗作品 フザケンナ! というのでしたら削除可で。


「挑戦者No.X! タカラギコさんです!」

モララーの声と共に、相変わらずのにこにこ笑顔を浮かべて
タカラギコが競技場に入場してきた。

「え~と、自己紹介をお願いしま~す!」

マイクを手に取ると、タカラギコは咳払いをし

「え、え~と、某科学研究所に勤めている、タカラギコといいます。
 お察しの方も多いかと思いますが、今回は仕事で培ってきた技術や知識を
 虐殺に使ってみたいと思います!! 多分皆さんを落胆させるような
 結果にはならないと思いますので、お、応援よろしくお願いします!!」

ワァァァァァァ………!!

大歓声と共に、「頑張れー!」と応援の声が。
ぺこぺこと頭を下げるタカラギコに、モララーが実況席から

「それで本日はどんなものを使うご予定で? ドクトル・タカラ?」

ドクトルと呼ばれたことに対してか、タカラギコが顔を赤くする。
「は、はい! ちょっと大きいですが、まずこれを!」
そういいながらタカラギコは右手を挙げる。すると競技場の中に
直径1m、長さ2mほどの鉄柱とおぼしきものが20本ほど
台車に積まれて入ってきた。その鉄柱を、助手であろう数人の
AAに手伝ってもらいながら、競技場のあちこちに立てていく。

「……あ、お待たせしました。これでセッティングは完了です!」
「この柱でドクトルが何をするつもりかさっぱり読めませんが、まぁ一応終了したと
 いうことなので、サァクリファイスゥッ!! ベビしぃちゃんたちの入場でぇっす!」
モララーの合図と共に、ベビ入場口が開かれ……あとはお決まりの展開。
チィチィナッコナッココウピコウピ それが100匹。

「ベビチャーン! ガンバルノヨー!」
そして、何も知らない母しぃたちと。

「んじゃあドクトル・タカラ、準備はいいか!?」
競技開始のピストルを構えたギコが、タカラに尋ねる。
タカラは勿論、首を縦に振り

パ ァ ン!!

競技、開始。

49 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:11:25 ID:???

……観客席も、控え室も、皆が皆息を呑んで見守っていた。
科学の専門家が、この鉄柱を使ってどんな虐殺をするのか
興味に堪えないといったところか。

「……よし。それじゃあまずは、第一段階……」
だがそんな皆の期待をよそに、タカラギコはポケットから何やら丸いもの
黒く、光沢があり、短い紐がついた球体を取り出した。

「……あれは、爆弾でしょうか? 確かにあのレベルの爆弾ならば
 持ち込みは許可されていますが、あれと鉄柱がどう結びつくのか……?」
モララーが皆の気持ちを代弁するような一言を呟くと、タカラは
その爆弾とおぼしき2,3個の球体の紐に火をつけ、宙に放り投げた。

バ ア ア ン ! !

「アニャッ!? ナンデチュカイッタイ!」
「ヂチッ!? ハナビシャンデチュカ!?」
「アニャニャニャニャニャァ!?」

……晴天の何とやら。各地で思い思いに過ごしていたベビしぃたちは
まず、皆が上空の破裂音に驚いた顔をした。

………まず………?

……その爆弾、中には液体でも詰められていたのだろうか? 上空で
破裂したかと思うと次の瞬間、それは戦時中の「黒い雨」を思わせるような
というよりまさしくそのもの、黒い雨が降り注いできた。

「チィッ!コ、コンドハイッタイナデチュカ!」
「ハナビシャンノチュギハ アメシャンデチュカ?」
「チィィィ! チュメタイ! アアッ! チィノキレイナケガワガマックロニ!」

……その黒い雨は競技場全域に降り注いだようで、ベビしぃは
百匹全てが真っ黒に染まったようだ。
それを確認すると、タカラはよし! とひとりごちた。

「おっきい兄者~、あれは何なのじゃ~?」
観客席の妹者が、隣の兄者に話しかける。
「う~む。見たところガソリンか毒薬か、その類の何かだと思うが
 しかしそれでは、あの柱の意味が分からないし……」
他のギャラリーも同じような疑問を抱き、観客席がざわつき始めると
タカラは次に、ベビしぃたちに向かって大声を出す。

「ベビちゃ~ん!! 今降ってきたその雨さんはね、実はとっても
 甘くておいしいんだよ! 試しになめてみなよ!!」

「アニャッ?」

「甘くて」「おいしい」の言葉に反応したか、ベビしぃが自分の体に
付着したその黒い液体をなめ始めた。

「アニャッ! オイチィ!! コェ、チュゴクオイチィ!!」
「エッ! ホントウ! チュゴクオイチィ! アマ~イ!」

一斉に、ベビしぃたちは自分たちの体についた液体を嘗めだした。
いやそれでは済まず、地面に零れた液体や、果ては他のベビしぃの
体を舐めだすベビまで出現していた。

「何だあれは? あのタカラは一体何をしたいんだろう?」
「サーナ! デモアイツ、チョット曲者ッテニオイガスルゾ! コノママ
 クソッタレマターリデ済マスハズガネーサ!! 黙ッテ見テヨーゼ!!」
控え室にいた弟者とつーが首を傾げあうと、実況席でも
 
「これは一体、どういうことでしょう……? 私にはドクトルの考えが
 全く読めません! てっきりガソリンの類かと思いきや、そうではない!
 毒物とも思いましたが、その雰囲気もない! 現状はただベビたちが食事をして
 マターリとしているだけ! このマターリとした胸くそ悪くなる光景がどう虐殺に
 変化するのか! 常人には理解できないということなのでしょうか!!」

疑問が頭を渦巻き、中には不満を漏らし始めるギャラリー。だがそんなギャラリーに
向かって、タカラギコは人差し指を立ててちっちっちっ、と左右に振る。

「“慌てる良い子はクソ掴む” 焦らないでください。そしてご安心ください、皆さん!
 私がマタ厨だとか思っていらっしゃる人もいるかもですが、断じてあり得ません!!
 この光景は、前座! これから奴らに地獄を見せてやるんです! マターリの極みに
 いるクソ共を地獄へ落とす……。これが最高でしょう? ……おやおや、やはり
 思った通り! あの馬鹿共、たらふく食ってくれたようです! ……では今から 
 その“地獄”をお見せします! ……スイッチ1、怨(オン)!」
タカラギコは懐からリモコンを取り出すと、「1」と書かれたスイッチを入れた。

50 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:12:28 ID:???

「アニャア…、オナカイッパイ。マターリデチュネェ……」
「ココハテンゴクデチュネェ……」

……満腹ということで思い思いに寝っ転がり、ノビーをするベビしぃたち。
お決まりだが、今の彼女たちは気づいていないだろう。自分にこれからどんな災厄が
降りかかるのか、あまつさえその“災厄”の一部を体に入れてしまっていることに…

そして、異変は突然起こった。柱を枕にして寝息を立てていたベビしぃたちが

「アニャ? ナンカアッタカイデチュネ…… ! ナ、ナンカドンドンアチュクナッテマチュヨ!」

突然悲鳴を上げて、もたれかかっていた鉄柱から離れ始めた。
見ると先ほどまでは何事もなかった鉄柱が、今やもうもうと熱気をあげているではないか。
付着した先の黒い液体が、早くもじゅうじゅう音を立てて蒸発している。

「おおっと! 何か分からなかった鉄柱の意味が、ようやく分かったようです。あれは
 ホットプレートのように熱々になるわけですな! しかし、しか~し!!
 いくら熱くなっても、ベビ共が逃げてしまっては意味がない!!」

モララーの言葉通りで、競技場を見ると、鉄柱は確かに赤熱化するくらいに熱くなって
いるようだが、肝心のベビしぃは……、当然といえば当然だが、やはり逃げ出している。
鉄柱の熱気に顔をしかめながら、皆競技場の中央に集まっている。

「もしかしてこの鉄柱の熱気で、奴らをロォストビィフにするつもりか! しかしドクトル
 そいつは時間がかかりすぎるぞっ! それにベビフライを食したから、満腹さ!」
モララーが興奮気味にしゃべると、タカラギコは首を横に振り
「“慌てる大人はブス娶る”!……ちゃぁんと仕掛けがありますから! 
 ではスゥィッチ2、怨!!」

51 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:12:59 ID:???

「ア、アニャッ!? ナ、ナンカヘンデチュヨウ!!」
「アルイテナイノニ、カッテニウゴイチャイマスヨゥ!!」
「アニャア!? ナ、ナァニィ、コエェ!?」

……タカラギコが“スイッチ2”を入れた途端、ベビしぃたちに異変が起こった。
見ると何故かベビしぃたちが、鉄柱に向かって動き出しているではないか!!
いや、しかし爪を地面に立てたりして抗っているところを見ると、自分の意志で
動いているわけではなさそうだが……

「おおっと! 突如始まった謎の行進! これは一体どういうことか!!
 これがドクトルの新兵器なのか!!」
モララーの言葉に、タカラギコは親指をびしっと立てる。

「その通り! 名付けて現代版“炮烙” 灼熱電磁石よ!!」


「あにじゃ~!! 何なのじゃ、何なのじゃ~! あのどくとるが
 やっているのは、何なのじゃ~!?」
「お、おお落ち着け妹者! これでは答えられん!!」
興奮した妹者に揺さぶられ、兄者がげほげほと咳き込む。

「……で、妹者、何が聞きたいんだ?」
ようやく解放され、呼吸を整える兄者に妹者が尚もはしゃいだ様子で

「“ほーらく”というのは何じゃ? ちっちゃい兄者が彼女に“こくはく”した
 あとのちっちゃい兄者のことを姉者がそう呼んでいたが、それか?」
妹者の素っ頓狂な発言に兄者は吹き出し、周りのAAも苦笑いを浮かべる。
「ば、馬鹿! それは“崩落”だ! ……弟者には絶対に言うんじゃないぞ……!
 で、“炮烙”だが……。あれは昔の中国の伝説の処刑方法でな、ああいう熱い
 金属の柱に体を押しつけて焼き尽くす方法だ。想像できるだろうが、結構えぐい」
「うへ~。お魚みたいになるんじゃ?」
「そう。なる。あのドクトルはおそらくそれをやろうとしているんだろう。
 ……次の電磁石というのが、ミソか……?」
「じじゃく? それは母者がどっかーんしても全然いつもと変わらない様子の父者のことか?」
「……妹者、それは多分“自若”のことだろうが、なぜに“磁石”を知らないのに、こんな
 言葉を知っている? それに父者は単に怖くて動けないだけだろ……と。まぁいい。
 学校の理科の時間に習っただろう? 鉄を近づけるとひっつく、あの不思議な物体だ」
「あ! 知ってるのじゃ! 変なものにひっついて面白かった石のことじゃ!!
 先生のパソコンにひっつけたら、「俺の二次元これくしょんが~!!」って先生が
 泣いてたのじゃ!! どうしてなのじゃ?」
「……哀れな……。HDが飛んだか……! だが気持ちは分かるぞ……。ま、まぁそれだ。
 それを磁石と言ってな。んで今回あのドクトルが使っているのは“電磁石”という
 少し特殊な代物で、普段は何ともないのだが、電気を通すとたちまち磁石に変わる
 不思議なものなんだ」
「ふえ~、変なものがあるのじゃなぁ~……。それで兄者、あのベビたちは
 いったいどうして、あんなことになっているのじゃ~?」

……兄者が説明しようとしたその時、競技場でタカラギコが話し始めた。
「はい! お察しの通り、この鉄柱は電磁石になっているのです! それでこの
 キモベビ共が何故引き寄せられているかと言えば、……これもお察しの方もいらっしゃるか
 そう! 先ほどベビに舐めさせたあの黒い液体。アレがミソでしてね。あれは砂糖水に
 砂鉄をぶち込んだ、というより砂鉄に砂糖水をぶっかけた代物さッ! あ、あと観客席には
 磁力が行かないように計算してありますので、皆さんの鉄製品、特に電子機器の心配を
 する必要はないですので、ご安心を!!」
「なぁるほどぉ! やつらは卑しく砂鉄入りの砂糖水をたっぷり食ったわけだから
 腹の中は今、砂鉄で満杯! おまけに最初に破裂したときも全身に浴びてるわけだから
 尚更だね! ……おやぁ、もうそろそろ限界のベビがいるぞ!!」

52 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:13:37 ID:???

モララーの言葉にギャラリーが振り向くと、たしかにそろそろ鉄柱に接触するベビが。
「アニャアア!! イヤアァァ、タチュケテェェェ!!」
……無知なベビでは磁力の仕組みも分からない。さながら見えない手に引っ張られている
ような感覚を覚えているのか? 必死に抗っているようだが、ずるずるずるずる、どんどん
鉄柱との距離は近くなっていく。

……強くなっていく熱気、爪を地面に立てて抗っても、地面に残るのは爪痕のみ。
自分の体は決して残らず、無情にも距離を近づけるだけに他ならない。

「よぉし! そろそろだ! さぁべびちゃん、ゆっくり熱々のダッコを味わいな!!」
タカラギコが叫んだ、まさにその時。鉄柱まで30cm程に近づいたベビしぃの体が、浮き……

じ ゅ わ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ! !

「ギニャァァァァァアアアアアアアアアアア!!!」

……遂に、最初の犠牲者が誕生した。鉄柱からもうもうと上がる白煙。暴れるベビしぃ。
「ギニャアアゲギャアアア!! ヤヤ、ヤデチュヨウ!!」
必死に自分の体を鉄柱から引き剥がそうとするベビしぃだったが、悲しいかな所詮ベビの腕力。
ベビのヤワな腕力では強烈な磁力にかなうはずもなく、むしろ掌足の裏を焦がすだけ。

「さー! 鉄柱とのダッコは如何かな!? 最高に“熱い”ダッコだろぉ!?
 おうおう、皆もダッコしたいか! 慌てるな慌てるな! 鉄柱さんは逃げやしない!!」

最初のベビが必死に体を引き剥がそうとしていた、その時
「モーヤァヨゥ! ヤァヨゥ! ヤァ……ブブベッ!?」
その体に、同じく磁力に吸い寄せられた別のベビがぶつかってきた。

「ア゙ーーーーーーーーー!!!」
下は鉄柱、上から別のベビのサンドイッチ。最初のベビはまさに阿鼻叫喚。
顔面を鉄柱に押しつける形となり、くぐもった悲鳴を上げる。相変わらず立ち上る煙。
そしてしばらくもがいたうちに……、動かなくなった。

「ハァ…ダッコハヤッパリマターリデチュネェ……。ッテ、アレ!? ナンカアツクナッテキマチタヨゥ!!」
今までは鉄柱と自分との間にベビがいたが、それは今や熱で焼き焦がされ消し炭そのもの。
さぁ、次は上に乗っていたベビの番だ。

53 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:14:36 ID:???

そんな悲惨?な光景が、あっちこっちで繰り広げられていた中で

「フ、フン! チィハヘイキデチュヨ! アンタノヘンナマホウニハ、カカッテナイデチュヨーダ!!
 チャア、ユルチテホチカッタラ、チィニコウピチナチャイ!!」
各々の鉄柱から離れた場所にいた、奇跡的に磁力の影響を受けていないベビしぃが
タカラギコに向かって挑発的な言葉を投げつける。
「そんなに交尾がしたいんなら……」
しかしタカラギコは相変わらずのタカラ・スマイルを崩すことなく、ベビしぃを持ち上げ
「あの鉄柱としてこいやぁぁ!!」
タカラがベビしぃをぶん投げたその先には、何と、棘突きの鉄柱が!!
その棘にベビしぃのマムコが、すっぽりと突き刺さり……

「ヤァァァァァ!! コンナノマターリノコウピジャナイデチュヨゥゥゥ!!」
ベビしぃがマムコを焼き焦がされていく様を、楽しそうに眺めていた……

「おおう! あんな離れたトゲトゲに、ベビのマムコを正確にクリーンヒットさせるとは!!
 流石ドクトル! 勉強だけじゃなくてスポーツも万能ッてか!?」
「……学生時代から、野球は大の得意さぁぁ!!」
タカラは尚も傍にいたベビしぃをつまみ上げると、ぶんぶんと灼熱の鉄柱に投げ始めた。

「アギャアアァァァァアアア!!??」
掃除機で吸い込まれるように、ベビしぃは次から次へと灼熱の鉄柱に引き寄せられていった。
「アヂュウヨォォォォオオオオ!? ダヂゲデェェェェェェェエエエエ!!」
体を鉄柱から引き剥がそうと手足を踏ん張るベビ、体をねじってみるベビ。
だが、結果は言わずもがな。どのみち上から次々とベビしぃが吸い寄せられてくるのだから
脱出など、不可能。このベビしぃはまず腹に直撃を受け、それだけで内臓がはみ出てきた。

ジュワァアアアアア……

「チ、チィノコテッチャンガァァ!! イヤァァァ!!」
さながら焼き肉のようなもの。ベビしぃは焼かれる己が内臓を無駄な抵抗、必死で体内に
戻そうとするが、その内臓は出来の悪いフライパンで料理をした末路よろしく、鉄柱に
べったりとくっついてしまっている。傷口からの出血も煙を上げて蒸発していく傍ら
「ア、ア、ヤ、ヤデチュヨゥゥゥ……」
真っ白な毛皮がどんどん真っ黒に縮れて焼けこげていく傍ら、ベビしぃは腹に感じる
鈍痛と、全身を苛む文字通りの灼熱感に散々悲鳴を上げた後……、動かなくなった。

勿論、はらわただけではない。あるベビは頭に別のベビが衝突、頭蓋骨が解放され
「アババババババババ!! ナコナゴォウゲガギャアアアアアア!!」
脳味噌を直接焼かれるか、あるいは蒸し焼きにされ、いずれにせよろくな悲鳴を上げずに
じゅうじゅう音を立てて消えていった。

54 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:15:08 ID:???

「おおぅ! しかし実に科学者らしい効率的な殺し方!! 自分で手を下す以外にも
 勝手にベビたちが死んでくれるんだから、これ以上の方法はなぁーい!!」
「まぁ本音を言えばこの手で百匹全てをぶち殺したいところでしたが、この大会では
 時間が優先されるとのこと!! ちんたらやっていては入賞を逃しますのでね!
 この屑共が卑しい馬鹿共で、助かりましたよ!」
「そりゃそーですよねぇ! いくら甘いってもあんな得体の知れない黒い液体、普通の
 AAなら舐めやしませんって! 流石欲望一直線のアフォベビ!! 甘いと分かれば
 後先考えずに体に入れる! いやー、天下無敵の大馬鹿種族だッッ!!」
「まぁ、このまま連中が勝手に死ぬのを待っていてもいいんですがね、それじゃあ
 面白くない。つーわけでますますベビしぃには苦しんでもらおうと思います!!
 さぁて、これでもくらえやぁぁ!!」
そう叫ぶとタカラギコはいつからそこにあったのか、傍らのずた袋の中に手をつっこむ。
中から出てきたのは……、釘や針、剃刀。タカラギコはそれらを次々に投げ始めた。

元からのタカラの投球力と、吸い寄せられる磁力。双方の力が相成って、飛翔物の速度は
倍加している。そして的とも言えるベビしぃたちは、逃げられない。

「イヂャアアアアアアアアアア!! チィノアンヨガァァァアアアア!!」
「ヂィノオメエエエエエエエエエエ!! グギャアアアアアアアアア!!」

オメメに釘が刺さるベビ。腹に大きな畳針が食い込むベビ。口の中に剃刀が突っ込むベビ…
吹き出た血がまたもうもうと煙を上げながら蒸発、辺りに妙な臭いが立ちこめた。
「気分は“ジャンピング・ジャック・フラッシュ”かな?  まぁ原理は全く別物だけれどね。
 ……さ、どんどんいこうか。次はさながらイノシシ用のショットガンってとこかな?」

タカラギコはにんまり微笑んでまた袋に手を入れると、今度はビー玉大の鉄球を
じゃらじゃらと取り出し……投げつけ始めた。

「ほらっ!」
「アベェッ!?」

「うぉらっ!!」
「ギャバァッ!?」

「せぃやっ!!」
「ギーーーー!!」

先の釘や剃刀と違い、今度の鉄球は鋭さがない分、衝撃がすさまじい。
恐らく純粋な鉄ではなく、中に鉛でも仕込まれているのだろう。ベビしぃに着弾するたびに
どぼっ、どぶっ、と鈍い、肉にめり込む音が聞こえてくる。勿論打ち込まれたベビ共は
それ一発で既に致命傷。内臓破裂で済めばまだいい方なのが恐ろしい。

「べびしぃはぁ~、歩いてこないっ♪ だ~からぶつけにいくんだよ~♪
 一回三個♪ 二回で六個♪ 三回投~げて死体の山♪ ……と、あれぇ?」

意気揚々と鉄球を投げまくっていたタカラが、ふと顔を横に向ける。
その視線の先には、まだ何故かベビしぃが残っていた。

55 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:16:56 ID:???
「……さっき磁力の影響を受けてない奴は皆放り込んだと思っていたが……まだいたか?」
タカラがずんずん近づくと、ベビしぃは涙目になってがたがた震え出す。
「ア…アニャニャ…! オ、オネガイオジタン、ユルチテ…!」
「オジタン、だと!?」

ベビしぃの言葉にカチンときたか、タカラスマイルに血管を浮かべながらベビしぃを持ち上げる。
「……計算すると、大体あの辺りか……。よし、行くか」
にやりと微笑むとタカラは、ベビしぃを投球フォームよろしく振りかぶった。
「オ、オジタン、ヤメテェェェェ!!」
「俺はまだおじさんなんて年じゃないんだよ! 逝ってこいやぁ!!」
すっかり顔を赤くしたタカラが投げるは、まさに剛速球!!  

……と、思いきや、あれほどいきり立っていたタカラだったが、その投球は奇妙なものだった。
なぜならベビしぃが飛んでいく先には柱がなかったし、その速度も下投げ程度のスロー・ボール。
興奮しすぎてミスしたか? と思いきや、そんなことは全くなかったわけで

「ア、アニャッ!? チィノカラダガ、オソラデトマッチャッタ!」

見るとベビしぃの体が、空中で静止しているではないか! いや、それだけではない!

「ヂィィッ!? チ、チィノカラダガヒッパラレテマチュヨゥ!! イ、イタイヨウゥ! マァマァァァァ!!」

ギャラリーも、そのベビしぃの悲鳴で悟ったようだ。……そう。タカラはわざと柱に向かっては
投げず、見た目には何もない場所に投げつけたのだ。

すなわち、柱と柱の中間地点。ちょうど双方の柱の磁力の影響がある場所に。

「ギューーー!! ギィィィィィーーーー!!」
今のベビしぃの状況を説明するなら、江戸時代にあったという牛裂き刑のようなものか
要するに体の両側から引っ張られているようなものである。

「アアアアアアアアアアアァァァ!! イヤァァァァ!!」
激痛の中必死にもがくが、ベビしぃの貧弱な力では強力な磁力に抗えようはずもない。
全身から関節の外れる、嫌な音が聞こえ始める。

「おうおう! これは痛い! 見えない力の股裂きだ! 流石ドクトル! こんな
 精密なことまでやってのけるとは! あんたは野球選手としても一流だよ!

「そいつはどうも!! さーて、まだ他にも悶えてるベビがいるから、そいつらが
 焼き上がるまで、こいつをじっくり眺めるとしますか!」

「アアァァアアアアァァァアアア……!!」

今やベビしぃの関節からは、嫌な音がしなくなった。替わりに四肢が元の二倍に伸びていたが。
その張本人、すでにもう白目をむいて口からは泡をごぼごぼと吹きだしている。
そしてついには、肉の裂け始める「みちみち」と言う音が。

その音は、タカラにも聞こえていたようだが
「……と。他は皆消し炭にして、お前が最後か……。
 このまま自然に八つ裂きになるまで放っておくのも手だが、時間がかかるな」

タカラはふぅとため息を一つつくと、ナイフを一本取り出し……ベビしぃに向かって、投げた。

56 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:17:37 ID:???


ばりばりばりっ!!


.

57 :cmeptb:2007/05/08(火) 23:18:20 ID:???

その投げられたナイフは、きれいにベビしぃの正中線、鳩尾に突き刺さった。
ゴムというものは、裂傷が入ると途端に脆くなる。それは筋肉も同じだったようで……

きれいに真っ二つに裂けたベビしぃは、そのまま各々の半身が各々の鉄柱に吸い寄せられ
他のベビしぃよろしく、じゅうじゅう音をあげて焼け始めた。


     パ ァ ン!!


「終ーーー了ーーー!! 100匹全部丸焼きだー!!」

最後のベビしぃが真っ二つになり、柱に飛び込むとピストルが鳴った。

「さすがはドクトル!! 実に科学者らしいやり方でした!! いやぁ、お見事!!」
上気するモララーに、タカラギコも両手をあげて喜んだ姿を見せる。

「久々に実験以外でベビしぃを屠りましたが、いやぁ、やっぱり遊びで殺すのは爽快ですねぇ!」

「それではタカラ選手、控え室、或いは観客席の方へお戻り下さい!ありがとうございました~!」


                           終焉