『カボチャ』という植物を理解する

Last-modified: 2022-06-17 (金) 21:11:25

我々が現在『カボチャ』と読んでいる植物は、大きく3種類に分けることができる。

  • 西洋種(クリカボチャ)…Cucurbita maxima
  • 東洋種(ニホンカボチャ)…C.moschata
  • ペポ種(ペポカボチャ)…C.pepo

栽培品種はこれ以外にもクロダネカボチャ(C.ficifolia)やミクスタカボチャ(C.argyrasperma)があるが、いずれも日本で食用目的に栽培されることはほぼない。
日本で栽培される上記の3種類はいずれも1年生の蔓性の草本植物で、葉は大きく突起を持ち、斑模様や裂片をつける。花色は黄色や橙色である。雄花と雌花が分かれる単性花であるため人工授粉が施されることが多い。夏から秋に直径6cmほどの黄色い花を咲かせ、果実を収穫し食用ないしは観賞用とする。
東洋種の原産地は諸説あり、北アメリカ南部・中央アメリカ地域の原産とする説が有力視されている。一方、西洋種は、南アメリカ・中央アメリカの高地が起源とされている。また、ペポ種は北アメリカ・中央アメリカ起源といわれている。

西洋種

S3763760_01.jpg
西洋種は果実は扁球形ないしは先端の尖る卵型で、表面には散らしたような斑紋が入るか、入らない場合もある。寒冷な地域でもよく育つ。
完熟果に特有のホクホクとした食感があり、甘みが強いためクリカボチャの名称でも親しまれる。果梗は円柱形で、熟果でも幾分柔らかい。果皮は黒皮、白皮、赤皮、青皮がある。
画像は「東京南瓜(芳香青皮栗南瓜)」。

東洋種

HORIZON_0001_BURST20220611180108288_COVER.JPG
東洋種は果実の形状がゴツゴツとしており、形状の変異もペポ種ほどではないが目立つ。
系統としては果実を上から見ると菊の花の形をしている菊座系、全体的に大ぶりで果実全体が細かいいぼで覆われ、溝が浅いかあるいはほぼない縮緬系、前者のいずれにも似た特徴を持つがが中心でくびれてヒョウタンに似た形状になる鹿ヶ谷系、柄杓のような形状で首の長い鶴首系(江南長系)などがある。詳しい品種は後述する。
温暖な地域や、やや年間平均気温の高い地域での生育が盛ん。果実は西洋種と比べると甘みが少ないが、肉質は固めで、煮物などでの煮崩れが発生しにくい。果梗は五角以上の多角形で、果実との接合部にはいわゆる「座」ができる。果皮色は当初は緑系の色だが、熟すと褐色系の色に変色する。また、品種によっては果実の糖分が表面に浮き出て蝋のような粉を吹く。
画像は「黒皮」。

ペポ種

Spaghetti_Squash_700.jpg
ペポ種は果実の変異が非常に大きく、中には到底カボチャ類には見えずむしろシロウリなどに似た性質を持つものもあり、そうしたものは味が淡白で、獣肉や香草とともに調理する。
金糸瓜やズッキーニなどの一部の品種を除き、多くは繊維が多いかあるいは食用にしても風味が殆ど無いので、観賞用並びに家畜の飼料とする。完熟果は保存性が高い。
果梗は東洋種に似るが、「座」は小さいかあるいはできず、毛が多い。画像は「金糸瓜」

画像出典 ウィキペディア(金糸瓜の画像)、国華園(東京南瓜の画像)、筆者撮影(黒皮南瓜)

コメント欄

閲覧者数

今日?
昨日?
合計?